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【2025/07/19 02:50 】 |
Kiss it better:2
 背中いっぱいに広がるドアの固い感触が、のだめの感覚をきりきりと絞ってゆく。
 二人の唇の僅かな隙間から漏れ落ちる唾液。
「…んっ…………」
 やっと解放されたのだめの柔らかな唇は、千秋の唾液でつややかに彩られている。

 千秋は熱い吐息をゆっくりと吐き出しながら、じっと熱い眼差しでのだめを見つめた。
「…もうっ……!あんなコト言うの、恥ずかしかったんデスよ……!!」
 のだめは拗ねたような表情で、千秋の視線から逃げるように顔を背けた。
千秋は、可笑しそうに、しかし優しく微笑む。
 …これがあのいつもののだめか……?
 ただもう、愛しくて。千秋は全力で変態の森を駆け回る心境だった。
「もう、……。のだめ、着替え取って…」
 再び背を向けようとするのだめを千秋は制し、軽々と抱きかかえた。
「むきゃ!」
「風呂はあとでいい」
 千秋はのだめを横抱きにしたまま、大股で部屋の奥に戻る。
「着てるとこ見ないとな、……勝負下着。」
 のだめは千秋の腕の中で、思わず俯いてしまった。

■■5
 耳までが朱に染まるそののだめの様子から、照れた表情は容易に想像がついてしまう。
「Dカップも、まだ見せてもらってないしな」
「……先輩の、バカ」
 千秋は、はやる気持ちを抑え、のだめをそっとベッドに横たえた。
「やんっ」
 ふかふかのベッドは、いくら静かに下ろされても気持ち良く弾んでしまう。
「なにが やんっ だ」
 千秋は、自身もベッドに膝をつきながら笑った。とても優しく。
なぜなら、のだめのそのセリフに日本でのことを思い出したからだ。
連弾の譜読みが全くできないのだめにレッスンをつけようと、部屋を訪ねた時のことを。
「のだめ」
 千秋の脳裏に、 『恋のレッスンABCはまた今度!』 のだめの声が蘇る。
「…恋のレッスンC、だからな」
 千秋はわざと冷静さを装って言った。
…口元は、笑いをこらえるので精一杯だったけれど。
 のだめも、赤い顔で吹き出した。
 初めて経験する大きな壁を前にしているのに。これからそれを二人で越えようとしているのに。
緊張のほぐれた、ほんの一瞬だった。

■■6
 思い返してみれば、色々あったが平和な音大時代だった。
いつもあんなに、一緒に居たのに。
考えてみれば、今までこうならなかった事の方が不思議なくらいなのだ。
 のだめは、千秋が自らのシャツのボタンを一つ二つと緩めるその動作をじっと見つめた。
対して千秋の視線は、手は動かしながらも、一心にのだめに向けられている。
 上気した頬と胸の高鳴りはとうてい隠せない。
「…先輩、イジワル、デスよ。のだめにあんなこと言わせて……」
「…自分で言ったんだろ」
 千秋は靴を脱がせてやりながら、のだめに覆い被さる。
 のだめの言う「あんなこと」が、勝負下着の事なのか恋のレッスンの事なのか、それはわからない。
けれど、今となってはどちらでも構わないことだった。
 千秋はゆっくりとのだめに覆いかぶさった。
「ぎゃぼっ!」
 場違いのようないつもの叫び声を上げるのだめ。
「先輩、い、痛いです、…ベルト……」
 千秋の真鍮製のバックルが、のだめの身体に食い込んでいた。
「あ、悪い……」
 千秋は一度身体を起こすと、ベルトを緩めて、抜く。
どんなに疲れてベッドに倒れ込む時も、ベルトは必ず緩めるのに。
 …オレ、舞い上がってるのか……?
 苦笑しつつ、再びのだめに覆いかぶさる千秋。
「先輩、可愛いデス」
 のだめは千秋の目を見つめてふうわりと微笑んだ。
 …舞い上がるのも当然、か。
 千秋は再びのだめを組み敷き、負担をかけないようバランスを取りながらも、のだめにのしかかる。
■■7
 一方のだめは。
 千秋の身体が熱い、そう思った。
そのあまりに密な感触に、のだめはそっと目を細める。
 千秋の左手はのだめの小さな頭に宛がわれ。
 右手は、のだめの頬を優しく撫で……

 キス。

 そっと唇を離して、また、
 キス。

 キス。
 キス。
 キス。

「…んっ……」
 眉を寄せて身をよじるのだめ。
しかし、千秋の身体に阻まれてその身は決して自由にはならなかった。
 もう、後戻りは、できない。


■■8
 優しく、小鳥がついばむようなキスを幾度も。
その度にのだめは、声にならない声を漏らす。
 …譜面通りに弾かないめちゃくちゃなピアノ。
それなのに、その余りある才能には幾度も感嘆させられた。

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【2011/06/25 11:34 】 | 千秋×のだめ | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
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