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五の君か、六の君か。
このところ私は、考えることといえばそればかりだった。 もう一度会いたいと願う私の気持ちが天に届いたのか、またとない機会が訪れた。 右大臣が藤の宴を催し、私を正式に招待したのだ。 堂々と右大臣邸に行けるのは嬉しかったが、常では考えられない方からのご招待に、私は裏を勘繰った。何かの罠である可能性もある。私は、主上に相談することにした。 主上のご判断は、特に気にする事はないだろう、というものだった。 むしろ招待されたのに断っては右大臣との溝がいっそう深くなる。親睦の為にも行ったほうが良かろう、との仰せに、私は素直に従うことにした。 裏を勘繰ったのは、私だけではなかった。かつて頭の中将と呼ばれた私の親友も、何か別の意味があるのでは、と私に忠告したが、私は表面上、主上の勧めに従って渋々伺うのだ、というふりをして、内実は意気揚々と右大臣邸に出かけていった。 右大臣邸の藤花の見事さは、評判どおりだった。右大臣はいつになく親密に私に酒を勧めてくれ、勧められるままに、私は酒を飲んだ。 御簾の内に、たくさんの女房が侍っていた。御簾の下から色とりどりの衣装をこぼれだし、客の目を楽しませている。 しかし私の目的の人はどこにいるのか。私は酔ったふりをして御簾に近寄り、中の女たちに声を掛ける。 「お酒を過ごしてしまいました。苦しくてたまらない。誰か介抱してくださる優しい方はいらっしゃらないだろうか。」 華やかな笑い声が、御簾の内にさざめく。 扇のことをさりげなく話題にしてみるが、返ってくる答えは的外れなものばかりだ。 ここにはいないのだろうか。諦めかけたその時 「私のことを心から思ってくださるのならば、迷うことなどないでしょうに」という人がいた。 あの人の声だった。 人々が寝静まるのを待って、私はあの人の部屋へ忍んで行く。 朧月夜の君は、やはり右大臣の六の姫だった。 寝殿の奥深く、人目を気にせずにすむ場所で、私たちは再び愛し合うことができた。 私を誘い込むと朧月夜は、私の視線を捉えたまま、まるで見せつけるように自ら衣を脱ぎすべらせた。 やはりこの姫は、男を捉えて離さない。 痛々しいまでに華奢な白い身体には、不釣合いなほどたっぷりとした、柔らかなつりがね型の果実が二つ。つりがね型なのに垂れ下がって見えないのは、天を向くように飾られた薔薇の蕾のせいだろう。 下の茂みは黒々と濃いが、大切な部分のみをわずかに覆い隠している。肌の白さとの対比が美しい。 PR |
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