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やがて、登り詰める瞬間が訪れた。
「あぁっ!あぁっ!あぁっ!いやぁん!もうっ!だめぇ!はぁん!…いく…っ…!」 最後は先端を指でめちゃめちゃにかき回し、反対の手では乳首を捻りながら、朧月夜は高らかに声をあげ、達した。ぐっと首をのけぞらせ二・三度身体を震わせると、一気に弛緩する。はぁはぁと息が荒い。 私は朧月夜を抱き上げてしとねに横たえ、乱れた髪を掻き分けてやった。 添い寝をして、耳元に唇を寄せる。 「いいよ。とてもいい。素晴らしかった。見ていただけで、私まで達してしまいそうになった…」 耳にかかる私の吐息が刺激になるのか、うっとりした表情で頭を軽く振る。身体中が官能の塊のような姫だ。 「今まで何度も自分でしたけれど、こんなに良かったのは初めて…」 まだ荒い息の下から、朧月夜は言う。 「…君は、誰かに見られていると余計に昂ぶるのではないの?」 「…そうね。そうかもしれないわ。あなたが見ていると思ったら、身体が熱くなっていつもよりずっとずっと感じてしまったの…」 呼吸が収まってきたのを見計らい、私は汁が滴った塊を朧月夜に擦り付け、乳房を手にする。 一度達した身体はすぐさま敏感に反応した。あふん、あふんと可愛らしく鼻を鳴らしながら私に抱きつき、脚をすり寄せて塊を刺激する。 「あのね…私、わかったの。本当の自分が。本当は自分が何を求めていたのか。…これだったんだわ。激しい、恋。」 朧月夜は抱きついたまま身体をずらし、私の塊に茂みを当て、腰をくねらせてお互いの先端と先端をこすりつけた。秘部がくちゅくちゅと音を立てる。 「あなたは、ありのままの私を受けとめて、火のような情熱で応えてくれた…嬉しかったわ。私の周りは、うわべだけの人ばかりだから。だから好きになったの。」 「私の周りもそうさ。君はいつも、素直に自分をさらけ出してくれる。だから惹かれた。」 「私、自分に嘘はつけないの。」 「私もだよ。…人に言えないだけで。」 「では私たち、似た者同士だったのね。」 「そのようだな。快楽に貪欲なところまで、良く似ている。」 言葉を交わしつつも、お互いの身体は動き続ける。先ほどの自慰から随分じらされてきた私は、もうたまらずに朧月夜を組み敷くと、話は終わりだというように深く唇を塞いだ。 朧月夜の腕に力がこもる。私は舌を差し入れた。迎え入れるように姫からも舌が差し出され、私たちはお互いの唾液で濡れるのも構わずに絡ませ合い、貪り合う。 口づけを交わしながら私は朧月夜の脚の間に身体を割り込ませた。姫は脚を広げて膝を立て、下の突起を上向かせるように腰を上げる。 私は襞と襞の合間を塊で何度か往復させ、蜜をたっぷりと纏わせると、角度を変えて朧月夜の花びらにゆっくりと差し入れた。 二度目のそこはやはりまだ狭く、押し返されるような抵抗を感じる。しかし朧月夜に苦しがる様子はなく、かわりに泣きそうな表情で眉をひそませた。 PR |
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惜しげもなく晒してくれた美しい裸体に、私は心からの賞賛を送る。
「やっぱり君は美しい。たまらないな。」 敬意を表するかのように、私も全てを脱いで晒す。 「あなたも素敵よ。お顔は女性のように美しいのに、身体は逞しいの。この逞しい身体に抱いてもらえるかと思うと、ぞくぞくするわ。」 手枕で横たわった私に寄り添い、指先で上から下へと私の身体を辿る。すでに勃ちあがっていた私のものに辿りつくと、そっと手を添えた。 「どこもかしこも、硬いのね。それでもここは特別だわ。どうしてこんなに硬く、反り返っているの?痛くはないの?」 「これは男の欲望の塊。敏感だけれど、痛くはないさ。欲情すればするほど、硬くなる。君のようないやらしい身体を前にしたら、それはもう、張り切ってしまうよ。」 「まあ。いやらしいだなんて、ひどい。」 「褒めているつもりなんだがね。君は男を狂わせる天才だよ。私は君を知ってから、どうにかして会いたい、また身体を重ねたいとそれだけを考えて、こんなところまで来てしまった。」 「私も、あなたと、あなたにしてもらったことが忘れられなくて。毎晩、あの夜のことを思い出しながらいろいろ試したのよ…やっぱり私、いやらしいのかしら。」 「ふふふ。そうだね。私はこんなにいやらしくて、こんなに可愛らしい人を他に知らないよ。…毎晩、私を思い出して自分を慰めていたの?」 「ええ。少しは良くなったと思うわ。」 「まずどうするの?…私に見せて。」 朧月夜は、一瞬表情を固くしたが、頬をばら色に染めると恥ずかしそうに、しかし嬉しそうに頷いた。 灯りのそばへ行くと私と向かい合わせになり、脇息を倒して寄りかかる。 軽く立てた膝、細い脚の向こうに、茂みの奥がちらちらと見えた。 「…まずね。おっぱいを揉むの。」 つりがね型の実を、両手で下から掬って持ち上げる。指の隙間から蕾を出し、縦横無尽に動かしながら揉む。小さな手に、大きすぎる実は包めるはずもなく、あちらこちらから溢れては形を変える。しばらくそうして揉むと、指の隙間を閉じて蕾にも刺激を加えはじめた。 「ふぅぅん…」 蕾に刺激を与えると、吐息が甘さを増す。もともとばら色だった蕾は更に紅くなり、驚くほど隆起して存在を主張した。 「んっ、んっ、んっ、んっ…」 尖りきった蕾のみを指先で摘み、更に捏ねる。蕾を支える乳輪がきゅっと締まる。朧月夜は、再び実全体を下から大きく掬い上げると、舌をいっぱいに伸ばして、自分の蕾を舐めた。 「あふん。ううん!」 猫が毛づくろいをするように、何度も何度も両の蕾を舐める朧月夜。初めて見る扇情的な女の姿に、私の雄からも、待ちきれないと言わんばかりに幾すじか汁が流れ出す。 朧月夜の瞳は、舐めるごとにとろんと夢心地になり、すでに昂っているのであろう、膝をもじもじとすり合わせた。 「はぁ。あふん。おっぱいで感じたら…次は、ここなの。」 乳房から手を離し、朧月夜は膝を立てたまま脚を左右に大きく開く。やはりしとどに濡れており、灯りをうけて黒い茂みがつやつやと反射する。潤んだ瞳で私をじっと見つめてから視線を下に落とし、茂みをかき分け、紅い女芯をさらけ出した。 「ここを触ると、じんじんするの。強く触ると痛いだけなのよ…だから、そっと、撫でるの。」 今までの行為で、蜜を塗るまでもなく女芯全体が蕩けていたのだろう。朧月夜は、片方の手で女芯を開いたまま固定すると、反対の手で、特に大きく膨らんだ女の先端を、指を数本使って撫で始めた。 「あん、あん、あん、あん、いいっ・・・あん、あぁん!」 撫で回すたびに花びらがひくひくと揺れ、どんどん蜜を吐き出してゆく。 自身の快楽に集中しながらも、朧月夜は時々瞳を上げては私を見つめ、私がじっと魅入っているのを確認すると、更なる快楽に溺れていった。 好奇心とちょっとした悪戯心から『見せて』と言った私だったが、頬を真っ赤に染めながら自慰にふける女がこれほど美しく、男を悦ばせるものだとは想像もしていなかった。 |
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五の君か、六の君か。
このところ私は、考えることといえばそればかりだった。 もう一度会いたいと願う私の気持ちが天に届いたのか、またとない機会が訪れた。 右大臣が藤の宴を催し、私を正式に招待したのだ。 堂々と右大臣邸に行けるのは嬉しかったが、常では考えられない方からのご招待に、私は裏を勘繰った。何かの罠である可能性もある。私は、主上に相談することにした。 主上のご判断は、特に気にする事はないだろう、というものだった。 むしろ招待されたのに断っては右大臣との溝がいっそう深くなる。親睦の為にも行ったほうが良かろう、との仰せに、私は素直に従うことにした。 裏を勘繰ったのは、私だけではなかった。かつて頭の中将と呼ばれた私の親友も、何か別の意味があるのでは、と私に忠告したが、私は表面上、主上の勧めに従って渋々伺うのだ、というふりをして、内実は意気揚々と右大臣邸に出かけていった。 右大臣邸の藤花の見事さは、評判どおりだった。右大臣はいつになく親密に私に酒を勧めてくれ、勧められるままに、私は酒を飲んだ。 御簾の内に、たくさんの女房が侍っていた。御簾の下から色とりどりの衣装をこぼれだし、客の目を楽しませている。 しかし私の目的の人はどこにいるのか。私は酔ったふりをして御簾に近寄り、中の女たちに声を掛ける。 「お酒を過ごしてしまいました。苦しくてたまらない。誰か介抱してくださる優しい方はいらっしゃらないだろうか。」 華やかな笑い声が、御簾の内にさざめく。 扇のことをさりげなく話題にしてみるが、返ってくる答えは的外れなものばかりだ。 ここにはいないのだろうか。諦めかけたその時 「私のことを心から思ってくださるのならば、迷うことなどないでしょうに」という人がいた。 あの人の声だった。 人々が寝静まるのを待って、私はあの人の部屋へ忍んで行く。 朧月夜の君は、やはり右大臣の六の姫だった。 寝殿の奥深く、人目を気にせずにすむ場所で、私たちは再び愛し合うことができた。 私を誘い込むと朧月夜は、私の視線を捉えたまま、まるで見せつけるように自ら衣を脱ぎすべらせた。 やはりこの姫は、男を捉えて離さない。 痛々しいまでに華奢な白い身体には、不釣合いなほどたっぷりとした、柔らかなつりがね型の果実が二つ。つりがね型なのに垂れ下がって見えないのは、天を向くように飾られた薔薇の蕾のせいだろう。 下の茂みは黒々と濃いが、大切な部分のみをわずかに覆い隠している。肌の白さとの対比が美しい。 |
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受け答えの一つ一つが私を魅了する。娘は、特に私に媚びているつもりではないのであろう。しかしその容貌も肢体も、言葉も表情も、全てが男を惹きつけてやまない魅力に満ちていた。
夜明けが近づいていた。 遠くで人が起き出す気配もする。もう時間の限界だった。 手早く衣を整えながら娘に尋ねる。 「ねぇ、君は誰なの?このままでは終わりたくないな…名を教えてくれる?」 「あら。私への想いはその程度ですの?もし本当に私を欲しいと思ってくださるのなら、ご自分でお探しくださいな。名は…朧月夜とでも、お呼びくださいませ。」 「…わかった。いいだろう。せめて扇を取り替えよう。今夜の思い出に。」 扇を交換すると、私たちは別れた。 自邸に戻り、取り替えた扇を広げて娘に思いを馳せる。 池に映った朧月を描いた扇…。 やはりあそこは弘徽殿の殿舎の一角だった。ということは、宴の見物に来ていた弘徽殿の女御の妹姫たちの誰かである可能性が高い。 女房や、宮仕えの女官ではないだろう。この扇のしつらえもかなりのものだし、衣も上等な物を着ていた。なにより、手だ。小さくすべすべした、なよやかな手。あれは雑用をこなしている人間の手ではない。 あの姫は人妻ではなかった。弘徽殿の妹姫のうち、未婚の姫は五の君か六の君。美人と噂が高いのは六の君だが、だとしたら大変な事になる。 六の君は東宮に…私の腹違いの兄宮のもとに入内されることになっていたからだ。 確かめるすべは無いものか。ひとまず私は腹心の従者である、惟光を呼んだ。 「…で、弘徽殿の、何番目の妹か確かめろ、と。」 「頼むよ。」 「嫌ですよ。私が光る君の従者であることは、既にあちこちで面が割れてるんですから。弘徽殿なんかをうろついていて、万一咎められでもしたら、何て言い訳すればいいんですか。」 惟光は、乳兄弟の気安さで、私には遠慮なく物を言う。 愛嬌があり、どこに行っても可愛がられる得な性分の惟光は、私にとって心許せる数少ない人間の一人であり、また、とても優秀な家臣の一人でもあった。 「では仕方ないな。今回は良清に頼むよ。」 「…良清では、頼りのうございましょう。」 「なんだ。あれだけ嫌がったのに。行ってくれるのか?」 「良清は真面目ないい奴ですが、真面目なのが災いして嘘が下手ですからね。しどろもどろの言い訳じゃ、疑ってくれと言ってるようなものです。相手は弘徽殿の人間ですよ。」 「やっぱり惟光だ。頼りになるなぁ!」 「おだてたって、駄目です。首尾良くいかなくても、お咎め無しでお願いしますよっ!」 ぶつぶつ文句を言いながらも、すぐに惟光は出て行った。口は悪いが、やる事はやるのだ。いい男だ。 やがて戻った惟光は、迎えの車の数やしつらえ、見送りに集まった人間、更には顔見知りの従者同士のさり気ない世間話などから、私の探している姫が右大臣の五の姫または六の姫のどちらかであることを突き止めていた。 見事な手柄だ。 褒美を奮発してやらねばなるまい。 |
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光源氏という私の渾名を知っているのだろう。言外に匂わせるその洗練された物言いに驚く。優雅なのに怜悧だ。この娘、ただの娘ではないかもしれない。
「お世辞ではないよ。あなたはとても美しい…。ところで、こんな所で何をしていたの?夜更けにたった一人で。」 「朧月に誘われましたの。」 「おやおや奇遇だ、私もだよ。春の朧月夜に浮かれてここに迷い込んだら、こんなに美しいあなたに会えたというわけ。」 「では、朧月に魅せられた者同士、今夜はここで月を愛でながら夜明かししましょうか。」 「それも良いけれどね…私は、あなたを愛でたいな。」 抱き寄せて唇を合わせる。少し身体が強張ったが抵抗せず、深く口づけるうちになよなよと身を任せてきた。 従順な可愛らしさに、私ももう止まらなくなる。 端近な局にいるため、いつ誰に見つかるか知れない。緊張感が私たちを余計に高ぶらせ、燃え上がらせる。 衣を全て脱がせることはせずに、はだけさせた隙間から愛撫した。見えそうで見えないなめらかな白い肌が、かえって男をそそる。 娘はとろけそうな瞳で私を見つめ愛撫に酔いしれ、押し殺したため息と微かな喘ぎ声を漏らす。言われた通りに身体を開き、どんな姿勢にも応じた。 仰向けに寝かせ、膝を割る。黒い茂みを掻き分け左右に大きく広げると、たっぷりと蜜をたたえてとろけた女芯が私を誘う。 すぐにも挿入したいのをこらえ、蜜を掬って秘核にぬりつけた。 「はあぁぁ…っ」 切なく吐息を震わせ、ぐっと腰を上げる。蜜を頼りに触れるか触れないかくらいの強さで指先で転がすと、私の動きに合わせてくいくいと腰を揺らした。紅い花びらの奥の入口がひくひく蠢き、新しい蜜を垂らす。さすがに堪らなくなり、花びらを押し広げて反り返った欲望の塊を奥まで突き立てた。娘の顔が歪む。 娘の中はたいそう狭かった。熱くきつい締め付けに、油断をするとすぐに果ててしまいそうになる。 しばらく押し込んだまま呼吸を整えて快感に耐え、少し慣れてから律動を始めた。 始めのうち苦しげな息をしていた娘は、やがて困ったようなとろけたような表情にかわり、いやいやをするように首を横に振った。襟に手をかけ胸をあらわにし、たぷたぷと揺れる双丘を愛でる。見つめられると、娘は興奮するようだった。肌がほんのりばら色に染まって美しい。私は腰遣いはそのままに揺れる果実にむしゃぶりつく。 「はぁん…っ」 挿入してから初めて娘が喘いだ。もっと聞きたくて、更に秘核にも手を伸ばす。 「んふっ…くっ!」 触れただけで娘は身体を震わせ、恍惚とした表情で一瞬身を固くした。狭い中が更に締まる。私の腰にも震えが走った。急いで引き抜き、手のひらに精を受ける。 すうっと糸を引いた娘の蜜に赤いものが混じっており、私は驚いた。 「…初めてだったのか?」 「…ええ。」 「なぜ始めに言わなかった。知っていれば、こんなに乱暴にはしなかったのに。」 「いいのよ。私、あなたにされるがままに、して欲しかったの。」 |
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御所が、満開の桜に包まれる頃。今上帝が、桜の宴を催した。
私は今上の第二皇子として産まれた。様々な理由から、父帝のご配慮で源の姓を賜り臣下に下ったが、その事で父帝をお恨み申し上げたことは一度も無い。むしろ私が大人になっても細やかにお気遣いくださるお優しい父上であった。 父帝の命で、宴を取り仕切る実質上の責任者になった私は、敬愛する父帝の御ため、また、長年密やかにお慕い申し上げている義母、藤壺の宮の御ために、心を尽くして準備をした。 幸い宴は大盛況となり、主上や東宮様からもお褒めの言葉を頂戴し、この日ばかりは私も美酒に酔いしれた。こんなに気持ち良く酔ったのは、本当に久しぶりのことだった。 酔いに任せて、風流な春の朧月に誘われるがままに、私は御所をそぞろ歩く。 無意識に藤壺に足が向かった。 ほのかにあの方のお声でも漏れ聞こえないかと思ったが、慎み深いあの方のこと、格子はぴったりと下ろされ漏れる灯りの一つもなく、すでにお休みになられたようだ。 もとより軽々しく隙をお見せになる方ではないと知っていたが、届かぬ想いはやはりもどかしく、酔いも手伝って私はまたそぞろ歩く。 ふと、半開きの扉が目に入った。不用心な、と思ったが、興を覚えてふらりと中に入ってみる。 人気の無い廊下には格子の隙間から朧月がのぞき、ひそやかな灯りを提供していた。 ここはどこだろう。 先ほどの藤壺の方角からすると、弘徽殿のどこかだろうか。 弘徽殿の女御は、かつて更衣だった私の母と今上帝の寵を争った間柄だ。そして右大臣家の出である。 自分を差し置き今上帝の寵愛を一心に集めた憎い更衣の息子で、政敵・左大臣家の姫を正妻に迎えた私を、弘徽殿側の方々が快く思っているはずがなかった。 姿を見咎められたら、面倒だ。外に出ようとした時、衣擦れの音がした。こちらに向かいながら、御歌を口ずさんでいるようだ。『朧月夜に似るものぞなき…』そう聞こえた気がした。綺麗な声だった。 どんな女だろう。私は廊下の陰から様子を窺う。まだ年若い、華奢で雅やかな、華のある娘だった。隠れている廊下の隣の局が空いていた。娘との距離が近くなる。私はさっと姿を現すと、すらりと娘を抱き上げ空いた局にすべり込んだ。 咄嗟のことに驚いて声も出せなかった娘だったが、局に連れ込まれると事態を把握したのか、助けを呼んだ。 「誰か、誰か来て…」 私は後ろから娘を抱きしめ、手で口をふさぐ。あくまで怖がらせないように、そっと。 「助けを呼んでも無駄ですよ。あなたも、恥をかきたくはないでしょう?私はね、何をしても許される身なんです。」 それだけで、娘は私が誰なのか察したようだった。抵抗はせずに、袖で半分顔を隠してゆっくりと振り返る。 「では、これから何をなさるというの?」 「どうしようか。すっかり酔ってしまっていてね。宴のふるまい酒と、美しいあなたに。」 「お世辞がお上手ね。あなたこそ輝くばかりにお美しいのに。でもお世辞でも嬉しいわ。」 |
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「あのね。痛かったけれど、少し解ったの。登りつめて弾ける感じがするのね…とても良かったわ。うふふ。素晴らしい研究の成果ね。」
「素晴らしいのは君の感度さ。私は情けなくも自分の欲望のままに動いてしまっただけ。君を気遣う余裕も全くなかった。」 夕霧はお詫びをするように私の額に口づけを落とし、髪をなでてくれた。 私は、気にしないで、という気持ちをこめて、首を横に振る。 「…あなたの物に慣れて、痛くなくなる日が来たら、もっと良くなるの?」 「次の約束は、それにしようか。君を、天まで昇らせてあげること。いろいろな手段があるそうだから、一つずつ試して、一番いいのを見つけてあげる。」 「私だけじゃいやよ。一緒に昇っていきましょう。…あの、私のような淫乱な女でも、夕霧は嫌いにならない?」 行為の最中の自分の乱れぶりを思い出し、今更ながら私は心配になった。 本当は、夕霧は、はしたない姫だとあきれているのではないかしら。 「何を言っているの。君は淫乱ではないよ。」 「だって私、初めてなのに、大きな声を上げてあんなに乱れて…あの…おねだりするような真似までしてしまって。今だって、もっとしたいと言ってしまったようなものだし。こういう、性に淫らな女のことを、淫乱というのでしょう?」 「誰彼構わず、身体を許しているわけではないだろう?」 「私には、夕霧だけよ。昔も、今も、これからも。」 「それなら淫乱とは言わないよ。もし淫乱だったとしても、私にだけ、あんな可愛いおねだりをしてくれるのだろう?あんなおねだりなら大歓迎だ。いくらでも応えてあげる。…ところで、もっとしたいの?」 「そんなこと言ってないわ!」 「言った。『もっとしたいと言ってしまったようなものだし』と。」 「…だからといって、今すぐとは…」 「初夜から三日間、露顕が済むまでは、朝も暗いうちに帰らなくてはならないからね。でないと、好色者と噂されてしまう。畏れ多くも内大臣家の姫君に、そんな浮名を流させるわけにはいかないよ。…さ、今度は、どこをどうして欲しい?どのような姿勢で君の中に入ろうか。」 早くも夕霧は、私の弱点をまさぐり始める。 熾火のようにくすぶっていた私の官能に再び火がともり、夕霧の欲望も首をもたげて熱をもちはじめた。 「夕霧!」 「急がないと、迎えの者が来てしまう。君も甘やかな声を従者たちには聞かせたくないだろう?私だって嫌だ。私だけが、聞ける声なのだから。…さあ。」 「わ、私もう今夜は…あっ…あぁんそこだめ…んっ…あぁ…ん」 私の抵抗の言葉は呆気なくあえぎ声に変わり、結局夕霧を欲情させただけだった。 それでいいのかもしれない。 私たちは、やっと、誰にも憚ることなく、愛し合うことができるようになったばかりなのだから。 【終】 |
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「…いいのよ、夕霧。動いて。少し慣れたみたい。楽になってきたわ。」
「雲居の雁…」 「男の人は、入れてから動いて気持ち良くなるのでしょう?私なら、大丈夫。」 「ごめん。…できるだけ、そっとするから…」 夕霧は、腰を回しながら更に押し込むようにして私の奥を探る。何度か回すと、僅かに腰を引き、また押し込む。その微かな動きを繰り返すうちに、私の中も新しい潤いに溢れ、なめらかになってきた。 ゆっくり半分ほど抜き、押し込む。私の腰を両手でがっしり支え、ぐりぐりと最奥で掻き回す。 鈍い痛みは、抜き差しされる毎に鈍い痺れへと変わり、私の感覚を麻痺させてゆくかのようだった。 夕霧の動きはだんだん大きく、激しくなる。 身体を起こし、私の脚や腰を抱え、位置や角度を変えながら、徐々に腰の動きを速めていった。 私の両膝を胸につくほどまでに押し付け、上側をこすられた時だった。 「ふぁぁん!」 今までとは明らかに違う、身体が浮き上がるような感覚が駆け抜けた。 夕霧は微かにほほえむと、集中的にそこを攻め続ける。 「んっ、はぁん、あぁん、あぁん、ふぁぁん…」 突かれる度に甘えた声が押し出され、ぞくぞくと浮き上がる感覚が連続で私を襲った。痛みはまだ残るが、それを上回る快感が私の理性や羞恥心を狂わせてゆく。 いつしか私は自ら脚を広げ、腰をめいっぱい高く上げて夕霧を受け入れていた。 頭をもたげると、紅く膨れ上がったところにぬらぬらと光る夕霧の雄が激しく出入りしているのが見える。夕霧も、その部分をじっと見つめながら、無心に抜き差しを繰り返している。 不意に、夕霧が私の蕾を指で小刻みに揺らした。 「きゃあぁぁん!いやぁぁん!あっあっあっ…ああぁぁぁんっ!」 弾ける…! わけの解らない高みに押し上げられ、身体ががくがくと痙攣する。 つながった部分にぎゅっと力がこもり、夕霧の雄が更に膨らむ。 痙攣する私に覆い被さってしがみつき、激しく二・三度腰を奥に打ち込むと「うぁ…っ!」という喘ぎと共に夕霧も身体を震わせ、私に精を注ぎ込んだ。 弛緩した私の身体の中で、夕霧のものがどくん、どくんと脈打つのを感じる。奥のこつこつした辺りに、熱い液体がかかるのがわかる。 しばらく抱き合い息を整え、夕霧は私の中からまだ熱い塊を引き抜いた。 「はぁぁん…」 引きずり出される感覚が寂しくて、思わず声が出る。 そして夕霧は、自分のものと、しとねに沈み込んで動けない私の分まで懐紙で拭ってきれいに清めてくれた。 懐紙が、所々赤く染まっていた。 処理を済ませた夕霧が、私の隣に身体を横たえる。腕枕をして、脇にすっぽりと私を抱えこんだ。 私は夕霧の胸にすり寄り、全身を彼に預けて目を閉じる。 なんという幸せ… 温かくて、安らかないい気持ち。 言葉は交わさずとも、夕霧の心からの愛情が充分に伝わってくる。 妹背となった男女が幾度となく体を重ねる意味が、なんとなく分かった気がした。 |
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何度か絶頂を迎え、身も心もとろけきって、くったりと弛緩した私の膝裏に手をかけ、夕霧はこれ以上できないほど大きく脚を開かせた。
紅く膨れた蕾も、襞の奥も、全て丸見えになるほどに広げ、腰を高く上げさせる。 そのまま私にのしかかり、限界まで張りつめた夕霧の先端の部分を、私の入り口にこすりつけ、あてがった。 「いいかい。いくよ。」 「…はい。」 「優しく、できないかも知れない。」 「大丈夫よ。来て…」 つぷり。 先端が、入った。 痛みはさほどではない。 夕霧は、浅い呼吸を繰り返しながら、ゆっくり腰を押し進めてくる。 …圧倒的な存在感。 熱くて太い、何か重いものが私の下腹からせり上がってくる。 半ば辺りまできた時だった。 突如身体が中心から割り開かれるような、めりめりと音がしそうな感覚と痛みが、私を襲う。 「ああぁっ!いっ…いたっ…あっ、んっ」 私の両脇につかれた夕霧の腕を、思わず握りしめる。 爪をたててしまったのだろうか。夕霧が、顔をしかめた。 「ご、ごめんなさい」 「いいんだ。しっかり握って。」 「えっ?」 「…さぞ痛いだろう?私には、その痛みは解ってあげられないから。せめて私の腕を握って。痛みを私に逃がして。」 夕霧の優しさに、胸が温かくなる。 「あと少しなんだ。ごめん。耐えて」 はい、と返事をする間もなく、夕霧は私の隙をつき、一気に最奥まで貫いた。 「ああああぁ…ぁっ…!」 裂けるような激痛に、ぐっと全身に力がこもり、どっと汗が噴き出した。 夕霧は腕からそっと私の手を解くと、覆い被さり、頭を抱いた。幼い子をあやすように何度も髪を撫で、頬をすり寄せる。 「入ったよ…」 私の下腹は、熱いもので隙間なく満たされていた。 初めの裂けるような痛みは、ずくずくと疼くような鈍い痛みに変わり、腰の辺りに留まっている。 「辛いだろう。まだ痛い?」 「…一番初めほどではないわ。熱くて、私の中がいっぱいよ。これがあなたなのね。」 「…うん。熱くて、ねっとりと柔らかで、でもきつい。これが君なんだ。」 「苦しいの?」 「苦しくはないよ。あの…最高に、気持ちいい。」 「そうなの?」 「君は辛いのにね。私ばかりいい思いをして、すまない。」 「…慣れれば、お互いに素晴らしく良くなるのでしょう?」 「誰に聞いたの、そんな事!」 「私だって、いつまでも何も知らない子供ではないわ。…女房たちの、噂話よ。」 「君も耳学問か。」 「他にどうしろと言うの?」 「…確かにね。もし、誰かに先に教え込まれていたら、私は気が狂っただろうな。」 「ふふふ。ありがとう。」 「なぜ礼を言う?」 「あなたも、私と同じ気持ちでいてくれたと思ったら、とても嬉しくなったの。」 夕霧は、それには答えずに私に優しく口づけをした。舌を絡ませながら乳房に手を伸ばす。 慣らされた場所はすぐに反応し、身体の中心がきゅんと締まると、夕霧のものがぴくりと動き、夕霧はため息を漏らす。何かにじっと耐えるように、身体を震わせた。 |
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どうすれば、もっと悦んでもらえるかしら。
夕霧の反応を見ながら、刺激の仕方を工夫していった。 くわえながら、袋の部分をたぷたぷ揺する。先端の膨らみを唇ではみ、小さな穴を舌でちろちろとくすぐる。 私のする事の一つ一つに応えるように反応をくれる夕霧だったが、奥深くまでくわえ、口中全体を使うようにして吸い、更に舌で扱くようにすると、突然様子が変わった。 耐えきれなくなったかのように私の頭を押さえ込み、小刻みに腰を前後させて快楽を貪る。うっとりと、我を忘れたように。 喉の奥まで押し込まれる私は苦しいのだが、夕霧を夢中にさせた喜びの方が大きかった。止めて、と言えなかった。 夕霧の小刻みな動きに合わせて、私の身体も揺れる。踵が触れている下の蕾がこすれて疼きだし、蜜がとろとろこぼれて踵をも濡らした。 やがて。ふるり、ふるりと腰を震わせた夕霧は、慌てて私の口から自身を引き抜く。先端に手をあてがい、苦しげな吐息と共に精を放ち、手のひらで受け止めた。 我にかえった夕霧は、ばつが悪そうな笑顔で私を見る。懐紙で精の処理をし、腰を下ろして私を横抱きにして膝に乗せた。 「君には負けたよ。」 「?」 「あんな無様な真似をするつもりじゃなかった。少し、してもらったら止めようと思っていたのに。あまりに君が上手なので我を忘れて暴走してしまった。苦しかっただろう…許してくれるかい?」 「私、そんなに上手だった?」 「ああ。誰か他の公達に手ほどきを受けたのかと疑いたくなるくらいにね。」 「ひどい!」 「わかってるよ、君がそんな女性ではないことくらい。ただ、驚くほど上手だったのは本当。なぜ、男の悦ぶ場所を?」 「あなたが教えてくれたわ。あなたを、じっと見ていたの。よさそうにしてくれるから、すぐに解ってよ。」 生意気な!と夕霧はふざけてこつんと私の額に軽くげんこつを落とし、私たちは久方ぶりに声を立てて、笑った。 「…このままでは、男が廃るな。」 すっと笑みを消した夕霧は、再び男の表情に戻り、口づけながら乳房をまさぐる。 乳首をこねられて、くぅんと私が喉を鳴らすと、腰に触れていた夕霧のものが再び熱をもち、固さを取り戻した。 私の身体を横たえながら、色っぽい声で囁く。 「あの日の約束、覚えている?」 「どの約束のこと?」 「次までにはもっと研究しておく、という約束のこと。」 「!」 「私も、君以外の女性とは肌を合わせたことが無いのでね。耳学問ですまないが、長年の研究の成果、悦んでもらえると良いのだけれど。」 話が終わるか終わらないかのうちに、性急な男の動作が始まり、私は呆気なく快感の海へと突き落とされた。 手のひらと、指と唇によって身体の隅々まで開かれてゆき、新しい場所をいくつも発見された。 下の蕾を口で愛撫された時には、自ら腰を振って更なる快楽をおねだりした。 何度も高い声をあげ、絶頂に震えた。 しかし、本当の契りは、まだだった。これからが、私たちの長くて短い夜の始まり。 |
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