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もう、上手く考えることができない。
身体の内部から中心をえぐられるような感覚。 熱くて、違和感があって。胸の内が、頭の中が、沸騰したようにおかしくなる。 痛みはあるのに、誰にも見せたことのない部分を大股開きで千秋の前にさらし、 その上千秋がその部分を自分に宛てがっているということが、異様なほど昂ぶらせていて。 「…の、のだめ……」 千秋はその状態のまま身体を倒し、慎重にのだめにのしかかった。 ■■30 「…っぁ、ん!」 二人がつながっている部分が僅かに動き、のだめは闇雲に声が出てしまう。 千秋はのだめに覆い被さると、細い首に腕をまわし、片手でその小さな頭を抱え込んだ。 のだめの髪は汗でしっとりと湿っているのに、相変わらず心地良いシャンプーの香がする。 千秋は再びのだめに入りかけている自身に手を宛てると、またゆっくりと、少しだけ差し込もうとした。 「っつ……!」 途端に、悲鳴のようなのだめの声。 のだめの身体中が強張り、その腿が千秋の腰を締め付ける。 「い、痛いか…?」 小さく、しかし小刻みに激しく首を横に振るのだめ。 千秋は、息を荒げながらも腰を止め、のだめの顔を見下ろした。 のだめは相変わらず強く目を瞑ったままなのに、先ほどとは全く異なった表情で顔を歪めている。 奥歯を噛み締めているのは、唇が白くなるくらい引き結ばれていることからも容易に想像がつく。 潤いは充分すぎるほどなのに、まだ、亀頭すらも入りきっていない。 千秋は快感と罪悪感の両方に苛まれ、のだめの額に唇を落とした。 「悪い……、ゆっくり、する、から、……」 これ以上ないくらいの締め付けと、のだめと一つになれた昂揚感で、千秋は上手く言葉を選べない。 その状態で二人、息を荒げて止まっていた。 暫くすると、のだめがゆっくりと口を開いた。 「だ…イジョブ、みたいデス、よ……少しラクに……」 のだめはハァハァと肩で息をつきながら、か細く変に上ずった声で、囁いた。 千秋はそっとのだめの頭を撫でながら言う。 「…本当か……?」 頷くのだめ。 背中にまわされたのだめの指先には力が込められ、痛いくらいだが。 …のだめの痛みは、こんなもんじゃない筈だ……。 ■■31 「…痛かったら、同じだけ、オレの背中に爪立てろ。いいな?」 PR |
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■■26
のだめは驚いたように目をぱっちりと開け、自分を抱きしめる千秋の顔を見上げた。 情けなく微笑み返す千秋。 のだめは下半身に感じる圧迫で身体を動かせないが、逆に腕を伸ばして、 千秋の首を抱き寄せ… キス。 初めての、のだめからのキスだった。 「だい、じょうぶデス、先輩。のだめ、がんばれマス」 のだめの膣内(なか)の指への締め付けは相変わらずきつくて、熱に浮かされたように浅い喘ぎを繰り返しながら、寸断なく顔を歪めているのに。 …いとおしい。 心底、愛しいと、思った。1人の人間を、こんなにも大切に思えるものかと。 溢れる想いに、深くため息をつく千秋。のだめを抱き寄せる腕に、自然と力と熱がこもる。 「ダイジョブ、デス。…だから先輩、遠慮なくヤっちゃってくだサイ…」 …ヤっちゃって、ってお前。 千秋は緊張感の中でも思わず吹き出しかけ、くぐもった笑いは、吐息となって零れ落ちる。 この期に及んでのだめらしさを失わない彼女への愛しさと共に。 苦しそうに、けれど悪戯っぽく、幸せそうに微笑むのだめ。 千秋は、抱いているのか抱かれているのか、わからなくなった。 「……ん、サンキュ…………」 千秋は、指の挿入を続ける。 ■■27 ようやく二本目の指がのだめの最奥まで到達すると、のだめは、は、と短く吐息を漏らした。 慎重に。 千秋はのだめの様子をことさら気遣いながら、膣内(なか)をゆっくりとほぐしてやる。 「…ん、あ……」 のだめは再び目を瞑り、声を上げる。 痛みが完全にひいたわけではないのは明らかだが、それでもその声には艶がにじんでいて。 「わかるか、オレの指…今、お前の中に入ってる……」 のだめは頷く。何度も。 「…さ、最初はものすごく痛くて…痛いだけだったけど…ちょっと慣れてきたみたいデスよ……」 のだめは、そっと目を閉じて、自らの中に埋められた千秋の指を全身で感じとる。 「ん、先輩の、ピアノ弾く指が入ってる……」 千秋は頷き返してやると、挿れた時よりも慎重に、二本の指を引き抜く。 先端が抜かれる最後の瞬間に、のだめはひときわ高い嬌声をあげた。 「……ゃあっ、ん!」 紛れもなく、快感に彩られた声だった。 荒く息をつくのだめに口付けると、千秋はそっと身体を離す。 そして、おもむろに自身の衣服を脱ぎ始めた。 |
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じらすように、ほぐすように、その周囲をやわやわと揉んでいく千秋。
「…ん、ふ、…あ…せ、せんぱ……」 「のだめ」 千秋は、その中心に、ごく浅く、中指を。 沈めた。 「…ッ!!」 のだめの表情が、苦しそうに歪む。 「少し、我慢しろよ……」 千秋はのだめに口付けると、揉みほぐしながら、指の挿入を続ける。 「んん…ぃ、痛……!!」 その表情と、紛れもなく苦痛を訴える声色に、千秋は心底心を痛めるが。 千秋はのだめを抱く左腕にぐっと力を込める。 越えなければ、越えさせてやらなければいけない壁なのだ。 ■■23 のだめの膣内(なか)は、とろけるように熱くて。 千秋の指をきつく締め付けるのに、たとえようのないほど柔らかい。 ズズ、ズ…… 「ん、ん、…ぃ…………」 この上なくゆっくり、ゆっくりと。 「…先輩、ぃ…痛い…デス……!!」 零れ落ちる涙。 千秋はのだめの苦しそうな様子に、千秋もまた身を裂かれるような思いだった。 決して代わってやれない痛み。 でも。 徐々に、膣内(なか)を割り開いてゆく。 のだめの全身は、指の先までも強張っている。 「のだめ、力抜いて……。オレに、つかまっていいから……」 千秋が頼りなげに宙を掴むのだめの指先をしっかりと捕らえると、 言われるがままに千秋の広い胸に顔を押し付け、背中に腕を廻すのだめ。 半分ほど挿入した千秋の指は、まっすぐには進まず、膣内(なか)の壁を、 そっと、そっと、揉み解す。 少しでも早くのだめが、ラクになれるように。自分の感触に慣れるように。 「…ん、…く………ぃ…痛ぁ……!!」 引きつらせた顔を千秋の胸に思い切り押し付けるのだめ。 「ちから、抜いて。ゆっくりだから」 のだめは、そっと頭を撫でてやりながら、優しく言う。 「せ…んぱっい!」 涙声ののだめ。それでも、やめて欲しいとは言わない。 のだめ自身もまた、わかっているのだ。 ■■24 「大丈夫だ。ゆっくり、深呼吸して…」 潤っているから、慣れさえすれば大丈夫なはずだ。 千秋はわかっていた。 とはいえ、胸の中ののだめの尋常でない痛がり様が可哀想でならない。 優しく身体を撫で、声を掛けてやることしかできないことがもどかしかった。 しかし、徐々に。 揉み解された箇所からとろけていくように、だんだんとけていくように、だんだんと挿入が容易になっていくのがわかる。 |
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■■19
「のだめ……」 千秋は無意識の内に、囁くような声でその名前を呼んだ。 のだめの唇に預けていた指先を一旦引くと、その腕を首に廻して抱き、 胸を愛撫していた右手を、身体の稜線に沿ってゆっくりと下部に移動させながら。 「せ…んぱい……?」 その、肌を降りていく焦らされるような感触に、のだめは自然と吐息を熱くする。 千秋の右手は、徐々に、その部分へ。 のだめが身につけている最後の衣服へと到達すると、のだめは息を飲んで、再び顔を手で覆った。 「顔、隠すなよ」 千秋は左手で、のだめの腕をどけさせる。 左手は布の表面を伝い、じりじりと、その中心へ。 「ゃ……ヤだ、怖い…デス……」 のだめはすがるように千秋を見つめ、自分を抱く手を握り締めた。 青ざめたその表情を見てちくりと胸が痛む千秋だったが。 そこに後悔の意志はない。 「怖くないだろ。オレ、ここにいるから」 千秋はのだめを抱く左手で、その頭をそっと撫でてやった。 そしてのだめの耳元で甘い吐息をつきながら、繰り返す。 「いる、から」 千秋の右手は、ついにその部分へ。 「…んっ……!!」 千秋の指先は、のだめのそのしっとりと潤んだ柔らかい部分に触れた。 のだめの目が強く瞑られ、頭を撫でる千秋の手を、ひときわ強く握り締める。 「あっ…………」 そこは既に潤んでいて、薄い布地が下着の意味を為さないほどに濡れていた。 ■■20 千秋は、そっと、その部分を撫でてやる。 「ん、ん、…………」 快感なのか、未知の感覚に耐えるのだめの苦しそうな表情が、千秋の胸の内を一層焦がす。 押し付ければ、布を通してじんわりと染み出すのだめの蜜。 割れ目にそって撫でれば、浮きがちにふるふると震える華奢な腰。 千秋は、問うことなく下着の隙間から硬い指先を差し入れた。 「…ひゃあっ……ッん…………」 のだめのそこは、柔らかくて。溢れるほどの蜜で乱れていた。 「…あ、…のだめすごい…すごい濡れて……」 千秋は思わず声を出す。 それは感動にも似た何か。 「気持ちよかったのか……?」 さっきも訊いたのに、そう問わずにはいられない千秋。 のだめは泣きそうに表情を強張らせることしかできない。 「もっとよくしてやるから、待ってろ」 |
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千秋はその憂いに満ちた表情に思わず息を飲むが。
「…見せるための勝負下着だろうが」 「や…恥ずかしい………けど……」 「けど?」 千秋は、のだめのふくらみに唇を落としながら言う。 「………ちょっとだけ、見て欲しいかも、デス」 照れたように微笑むのだめ。 そんな自分に戸惑うように、ちょっと困惑したような顔つきになってしまうのはしょうがないけれど。 千秋はふっと笑みを零すと、少し身体を伸ばして、唇にキスをした。 「……ん。」 そうしてまた、胸への愛撫を再開する。 もう、余裕なんてどこにもなかった。 ■■16 たわわなふくらみを食み、熱い突起を嘗め回し、責め立てる。 どうしても荒くなってしまう掌で、存分に揉みほぐしながら。 そして食むだけでは我慢しきれずに、むしゃぶりつくように口に含み、転がす千秋。 「あ、や!…あ、あんっ!ま、待って、せ、…ん!先輩待って!!」 そのあまりにも必死な懇願に、千秋はハッと我に返り、顔を上げてのだめを見つめた。 のだめの目尻には涙が光っている。 「……なんだ?」 のだめは口を開けたまま、首を横に振った。 「あ、あの、だから…あの、やっぱりちゃんと見て欲しいデス、…勝負下着……」 千秋は、ともすれば泣きそうに緩んでしまう表情で微笑んだ。 …なんて、バカなんだ。愛らしいんだ。 「…見てるって。似合う、きれいだ…」 「そうデスか…?」 のだめの大きな瞳が瞬かれる。 濃く長い睫が、その頬に影を落とした。 「ヨカッタ……」 のだめは、安堵を浮かべる、嬉しそうな表情を浮かべる。 千秋はそっと身体をずらすと、その頭を胸に抱いた。 「あぁ、きれいだ。この日のための勝負下着だもんな?」 千秋はのだめの胸に手を置いたまま、片方の手で頭をなでてやり、額にそっと唇を落とした。 のだめは力なく頷く。 そして。 「…のだめは勝負に勝ちましたカ?」 上目遣いで悪戯っぽく千秋を見上げるのだめ。 「…………。」 ……降参だ。 ■■17 苦笑しながら、唇を重ねる。 と同時に、今度はブラのホックを片手で外し、 腕を痛めないよう注意しながらストラップを片方ずつ抜いた。 ブラを完全にはぎとると、のだめの胸元で輝くルビーが映えて、可愛らしくその白い肌を彩る。 |
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「ん、」
のだめはぴくりと反応する。 千秋はせき立てられるように一度その胸を鷲掴むと、急き立てられてホックさえ外さないまま、 男性的な無骨な手をブラの中に無理やり滑り込ませた。 ■■12 「~~~~~~!!」 のだめは声も出せずに、千秋の掌に飲み込まれ、ベッドに沈み込んでしまう。 その反動で、のだめの茶色がかった猫っ毛がふわりと宙を舞う。 素肌に直接触れられる千秋のその掌の感触は、恐ろしいほどリアルで。 そんなのだめの扇情的な表情に、千秋もまた息を荒くした。 「…ふひゃあぁぁぁ……!!」 のだめは一層頬を染め、これ以上ないくらいに身体をよじる。 しかし、当然ながら、千秋の手が休まることはない。 「やあ、あ、せ、せん…あ、あんっ!先輩!!」 理性が飛んだかのように激しく、しかし、優しく揉みしだく千秋。 千秋の掌は、今まさにのだめの胸のふくらみに直に触れていて。 たぷんたぷんと跳ね返る、肌の感触。しっとりと、掌に吸い付いてきて。 「あ…………」 その声は、もうどちらのものかわからなかった。 …すごい………… のだめの胸を直接触るその感触は、形容しがたいほど淫猥だった。 むにゅん、むにゅん、と。揉みしだく度に掌から零れ落ちる柔らかさ。 軽く口を開けたまま、切ない表情で悶えるのだめ。 滑らかな肌は、千秋の掌を滑らせる。 大きなふくらみは、やわやわと千秋の掌の中で揺れる。 そのボリュームは見事なもので。 千秋は掌をいっぱいに広げて、優しく掴む。離す。掴む。離す。掴む。 まるで円を描くかのように揉み、掌の内で遊ばせる。 ■■13 その中心の突起は、もう充分に硬くなっていて。 掌が擦れるたびに、のだめの唇からは、一層高い、悲鳴にも似たか細い喘ぎが断続的に漏れる。 千秋は熱い吐息を漏らしながら、長く硬いピアニストの指先でその突起を摘み上げた。 「きゃあんっっ!!」 のだめはたまらず、ふるっ…っと身体を奮わせて啼いた。 初めて受ける、異性からの…好きな人からの愛撫。 のだめはうなされるように、ただただ、首を横に振ることしかできない。 その感触は、脚のつかない深い海で溺れる、何かにすがろうと必死にもがく様に似ていて。 救いようもないほど、千秋の指先に翻弄されていた。 千秋はそんなのだめの表情を、食い入るように見つめている。 |
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豊かな内面がその指に込められていて、幾度も心を奪われた。
そののだめが今、溢れる情感を隠すことなく自分にさらけ出している。 その、感動にも似た激情に千秋の胸は更に昂ぶっていく。 やがて、触れるだけのキスでは物足らなくなる。 一度は静まった欲望が、更なる熱を伴ってもたげてくる。 引き結ばれたのだめの唇に割って入るように、千秋の舌が差し入れられた。 「んぅっ!…ん、ぁ、んん……」 反射的に逃げようとするのだめの顔をしっかりと押さえつけ、 のしかかった身体は、のだめの弱々しい抵抗を自然と阻む。 今までに何度も抱きしめた。 ほんの少し、強引にしたことも。 しかし、こんなに一方的にのだめの身体を自由にするのは初めてだった。 ■■9 千秋は、倒錯した思いで自身の唇を押し付け、のだめの口内を余すことなく犯していった。 「…ん、ん、…っあ、」 のだめの声に熱がこもる。 「…ぁ、は、……のだめ、眉間に皺、寄ってるぞ」 千秋は、少し唇を離すと、乱れた息で微笑みながら言った。 のだめはそっと目を開けて、千秋の顔があまりに近くにあることに今更ながら面くらいつつも、弱々しく、抗議するような声を出した。 「……先輩のせいデスよ」 「オレのせいか」 言いながら千秋の右手は、のだめの肩口、二の腕を伝って下に下りてゆく。 その感触に、のだめの身体はついびくりと反応してしまうが。 「…そうデスよ…。いつも先輩は、いきなりなんだから……」 千秋は、こんな場面でものだめがのだめらしく憎まれ口を叩くことに、安堵さえしていた。 会話の合間に、繰り返されるキス。 次第に下りてゆく右手は、ゆっくりと。 薄手のニットのワンピースを通して、肉薄ながらも柔らかく弾力のある肌を丁寧に撫でてやりながら。 「いきなりはお前だろ。…このDカップめ」 千秋はのだめのふくよかな胸に触れた。 ■■10 「…ッ!!」 …やっぱり、大きい。それに… 「…柔らかいな……」 「…ん、っや……」 のだめは、背をしならせ、首をのけぞらせた。 千秋がいっぱいに掌を広げても、余りあるそのふくらみ。 千秋は、両の手でのだめの胸の感触を味わっていた。 |
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背中いっぱいに広がるドアの固い感触が、のだめの感覚をきりきりと絞ってゆく。
二人の唇の僅かな隙間から漏れ落ちる唾液。 「…んっ…………」 やっと解放されたのだめの柔らかな唇は、千秋の唾液でつややかに彩られている。 千秋は熱い吐息をゆっくりと吐き出しながら、じっと熱い眼差しでのだめを見つめた。 「…もうっ……!あんなコト言うの、恥ずかしかったんデスよ……!!」 のだめは拗ねたような表情で、千秋の視線から逃げるように顔を背けた。 千秋は、可笑しそうに、しかし優しく微笑む。 …これがあのいつもののだめか……? ただもう、愛しくて。千秋は全力で変態の森を駆け回る心境だった。 「もう、……。のだめ、着替え取って…」 再び背を向けようとするのだめを千秋は制し、軽々と抱きかかえた。 「むきゃ!」 「風呂はあとでいい」 千秋はのだめを横抱きにしたまま、大股で部屋の奥に戻る。 「着てるとこ見ないとな、……勝負下着。」 のだめは千秋の腕の中で、思わず俯いてしまった。 ■■5 耳までが朱に染まるそののだめの様子から、照れた表情は容易に想像がついてしまう。 「Dカップも、まだ見せてもらってないしな」 「……先輩の、バカ」 千秋は、はやる気持ちを抑え、のだめをそっとベッドに横たえた。 「やんっ」 ふかふかのベッドは、いくら静かに下ろされても気持ち良く弾んでしまう。 「なにが やんっ だ」 千秋は、自身もベッドに膝をつきながら笑った。とても優しく。 なぜなら、のだめのそのセリフに日本でのことを思い出したからだ。 連弾の譜読みが全くできないのだめにレッスンをつけようと、部屋を訪ねた時のことを。 「のだめ」 千秋の脳裏に、 『恋のレッスンABCはまた今度!』 のだめの声が蘇る。 「…恋のレッスンC、だからな」 千秋はわざと冷静さを装って言った。 …口元は、笑いをこらえるので精一杯だったけれど。 のだめも、赤い顔で吹き出した。 初めて経験する大きな壁を前にしているのに。これからそれを二人で越えようとしているのに。 緊張のほぐれた、ほんの一瞬だった。 |
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■■1
千秋は呆れたように溜息をついた。 「なんでお前がここんとこ毎日うちの風呂に入りに来たかわかったよ…」 のだめは、あはは、と笑う。 「そんな簡単に止められるかよ……。 明日管理人さんに言えよ。壊れてんだろ、ガス」 のだめは素直に頷くと、気の抜けたような笑顔を返すが。よく見ると、どこかぎこちない。 まるでなんとか笑い顔を作ろうと装っているかのような。 …さっきまでの威勢はどこいったんだ……。 しかし千秋は、とりあえずのだめが笑顔で答えてくれることに内心救われてもいた。 もし今、この雰囲気が壊れたら。千秋はぶり返す欲望を今この場でぶつけてしまうだろうから。 何せつい今し方、茶化し合いで流れたとはいえ『これからヤるぞ』と言ってしまったようなものなのだ。 「じゃあ着替え取ってこいよ。風呂沸かしておくから」 千秋はなんとか平静を装いつつ、立ち上がりながらのだめに言った。 「うー…そうしマス……」 のだめは、未だほんのりと赤みを帯びている頬に手を宛てながら、千秋を見上げた。 そんなのだめを見て、思わず千秋も頬を染めかけるが、そんな想いを無理矢理押し込める。 「遅かったら閉め出すからな」 するとのだめは、少し緊張が解けたようにいつもの笑顔を見せた。 「んもー!ラピュタじゃないんデスから40秒なんて無理デスよ~?」 「はいはい」 手を引いてのだめを立たせてやりながら、千秋も笑う。 その瞬間、二人の視線が交錯した。 のだめは、しっかりと見つめ。 千秋は、思わず目を逸らした。…しかし、つい口にしてしまった。 「……あの下着、持ってくるのか?」 ■■2 その言葉が、二人の空気を唐突に現実に引き戻す。 千秋の手を握るのだめの手に、僅かに力が込められる。 …言ってしまった。 千秋はその声に、そうと意識しないままどこか容赦のない含みを持たせてしまったのに気づいた。 言うべきではなかったのかもしれない。 けれど、言わずにはいられなかったのだ。 のだめの身体は強張るが……静かに首を横に振った。 「…………。」 それは、単に恥らってのことか、それとも拒絶の意味なのか。 俯いたのだめの表情からはそれが読み取れず、千秋は己に対して苦々しささえ感じていた。 ……本当に、何を焦ってるんだ。オレは、そんなに、のだめが欲しいのか……。 |
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「す・・・すげ~。一発でイッちゃたよ。ブラボーのだめ!!最高のフィーリングだ!!オレたちは最高のパートナーだ!」
峰に見初められ、のだめは試験のパートナーになった。 「のだめ、ますますわかりませーん!!」 行き詰まり、茶碗片手に千秋の部屋を訪れるのだめ。 「おまえな・・・わからないならビデオぐらい観ろよ!」 「わたしと峰くんのと全然ちがいマス・・・・・・先輩、ちょっと相手してくれませんか?」 「1回だけだぞ。じゃあ風呂入れ。」 (1回ビデオ観ただけでこれだ・・・恐ろしい奴・・・。) 「くっ・・・!」 「あへ~・・・。気持ちよかったデス、はうん~」 のだめ昇天。 「オレはあわせるのでいっぱいいっぱい。最近やってなかったし、やっぱだめだな。」 「え~~!?すごくうまいですヨー千秋先輩!」 「なんでだろー?峰くんとはうまくあわせられなかったのに・・・でも峰くんは“気持ちよかった”って―」 「そーゆーのはいわゆる・・・」 「オナニープレイってゆーんだよ!デスよ。意味はひとりよがり。」 「は・・・はい?」 「それから―峰くんは前戯がわかってねぇ!デス!水音ちっともきいてないだろ!?ひとりで気持ちよく先走ってどうする!?それから~、テクニックばっか気をとられるな!ふい~・・・以上4つ!のだめからのアドバイスでした―。」 落ち込む峰。 (なにもかも見透かしたように・・・) 「どうせオレはヘタクソだよ!才能なんかねーよ!」 「でも・・・千秋先輩峰くんのことヘタなんて言ってませんでしたよ~?‘体位がおもしろい‘とか‘前戯はダメだけど体力はある‘とか、ホメてたしー」 (千秋・・・) 「ね、だから練習しよー峰くん。」 試験当日― 風邪をひいて使い物にならないのだめ。 「もういい・・・わかった。峰の相手はオレがする!ただし、おまえが受だ!」 一発勝負だ! 「そんなーー!」 そして、峰の番―。 「今日はテクニックとかそんなに気にするな。でも、オレ様の技はちゃんと感じろよ…あとはてきとーに、好きに動いていいから。」 本番開始―。 |
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