忍者ブログ
  • 2025.06
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • 11
  • 12
  • 13
  • 14
  • 15
  • 16
  • 17
  • 18
  • 19
  • 20
  • 21
  • 22
  • 23
  • 24
  • 25
  • 26
  • 27
  • 28
  • 29
  • 30
  • 31
  • 2025.08
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

【2025/07/19 00:50 】 |
千秋×のだめC:1
「先輩、ただ今帰りましたー」

自分の部屋へ帰らず、のだめはいきおいよく千秋の部屋へと入ってきた。
「あれ?千秋先輩?」
いつもだったら、机に向かっているはずなのに、千秋はそこにいない。
机の上にはいくつかの楽譜が散乱したままになっている。
「がぼーん…」
カフェにでも行ったのかな、と思いながら続きの別室のドアを開けると、千秋はそこにいた。
一人がけのゆったりとしたソファに体を預けて、静かな寝息を立てている。

「寝ちゃってマスね…」
細く開けた窓から入り込む風が、千秋の前髪を揺らしている。
沈みかけの夕日に照らされたまつげが頬に影を落としていて、それは息を呑むほどに美しかった。
「ふおぉぉ…」
のだめはソファの脇に立ち膝をついて、その美しい寝顔を覗き込んだ。
色白だけれど、健康的な色味の差す陶器のような肌。
強い意志を感じさせる、きりっとした眉。
時折憂いに満ちる下向きのまつげ。
すらりと高い、理知的な鼻。
…時々天狗になったりもするけど……なんて考えて、のだめはくすりと笑った。
薄く開けられた形の良い唇。ごく淡い桜色で、そう、柔らかで滑らかな……。

千秋の唇を見つめているうち、自分が千秋の唇の感触を思い出していることにのだめは気づいた。

急に恥ずかしくなって、のだめの頬が赤らんでいく。
唇に、だけじゃない。
この唇が首筋をたどったこともあったし、背中に幾度も押し付けられたこともある。
丹念に胸を愛撫していくのもこの唇だ。
自分の、一番恥ずかしい部分にだって……。
自分の足の間にこの美しい千秋の顔がうずめられているのを見たとき、心臓がはじけてしまいそうだった。
恥ずかしくて、恥ずかしくて…でもうれしくて。
何度か肌を合わせて、その度千秋は新しい悦びをのだめに与えてくれる。
「…センパイはエッチすぎデス」
のだめは真っ赤な顔で、千秋の耳元にささやいた。
そうして、ゆっくりと顔を近づけキスしようとする。
「…誰がエッチすぎだって?」
千秋はパッチリと目を開けて、目の前ののだめを軽くにらみつけた。
「ぎゃぼー!起きてたデスか!!」
のだめは反射的に体を千秋から離れようとしたが、いつのまに
か腰をがっしりと抱かれていた。
「はうぅぅ…」
無言のまま腕を強めると、のだめはバランスを崩して千秋の膝の上に座ってしまった。
「ごっ、ごめんなさいデス!!」

のだめは膝から降りようとしたが、千秋の腕がそれを許さなかった。
「のだめ、重いですヨ…降りますから、腕を…」
のだめを抱っこする格好で、千秋のまぶたは再び閉じられていた。
「…センパイ?」
問い掛けても返事は返ってこない。
「…?」
しばしの沈黙。のだめは千秋の顔を覗き込む。

「……まだ?」
痺れを切らしたのは千秋だった。
「へっ?!」
「待ってるんだけど」

「な、何をデスか?」
千秋のまぶたはまだ閉じられたままだ。
「キス、してくれるんじゃないのか?」
「いっ?!」
どがーん、と爆発しそうなほど、のだめは恥ずかしくなった。
「見てたんデスか?!」

…それまでずっと、自分から気持ちをアピールしてきたけれど、いざこういう関係になるとどうしていいのかわからない。
すごくうれしいのに、それがうまく伝えられない。
もどかしくて、せつなくて……大好きで……。
「いっ、イきますよ」
「ん。」
のだめは自分の唇を千秋の唇に押し付けた。
勢いに任せた、幼いキス。
色気もそっけもない、まさに「ぶちゅーー」といった感じの、キス。
千秋がうっすら目を開けると、のだめのぎゅっと閉じられたまぶたが見えた。

その姿がいかにものだめらしくて、愛しくて、千秋はそっと背中をなで上げる。
「ひゃっ……くすぐったいデスよ…」
身をよじって、のだめはキスを解いた。
半分横たわった状態の千秋に覆い被さるようにして、自分からキスをしたというそのシチュエーションに、のだめはいつも以上にどぎまぎしていた。
「…なんだそりゃ。こんなんで俺が満足すると思ってんのか」
「うぎっ……しょうがないじゃないデスか!のだめ、初心者なんですから。…百戦錬磨の先輩とは違うんデス」
のだめは、拗ねたように唇を尖らせた。
「俺がお前にするみたいにしてみろ…ほら…」
肘掛に手をつくことで体を支えていたのだめだったが、不意にひじをつかまれて、千秋の胸に倒れこんだ。
「ふぎゃっ……」
目の前の、千秋の唇。
再び目は閉じられて、少しだけ唇を突き出してのだめを待っている。
引き寄せられるように、今度はやさしく唇を重ねた。

千秋の唇を、自分の唇で挟むようにして柔らかな感触を確かめる。
のだめの舌を誘い込むように千秋の唇は開いていて、けれども自分からは何も仕掛けてはこない。

PR
【2011/06/27 01:10 】 | 千秋×のだめ | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
<<千秋×のだめC:2 | ホーム | 千秋×のだめB:3>>
有り難いご意見
貴重なご意見の投稿














虎カムバック
トラックバックURL

<<前ページ | ホーム | 次ページ>>