「駄目デスってば……先輩…ゃあん」
そしてまた、のだめの肩越しに見える自分の掌の中で形を変える双丘は、千秋の官能を奮い立たせるのに十分だった。
「なあ、のだめ……」
「駄目デスー!!」
いいだろ?と千秋が問い掛ける前に、のだめは腕をがっしりとつかみ、千秋の動きを静止した。
「言ったでしょ!これから学校なんですヨ!!」
「…そうだったな。忘れてた」
のだめは千秋の腕をすり抜け、再びブラをつけた。千秋は若干ふてくされ気味でベッドに寝転んだ。
「あーあ、このブラのセット、気に入ってたのに…」
「サイズが変わったらつけられないのか?」
「合わないサイズだと、胸の形が崩れちゃうんですヨ。だから、新しいの買わなきゃ……グスン」「ふーん」
のだめはワンピースに袖を通し、コートを羽織る。
「…先輩のせいですヨ。いつも、胸ばっかり揉むから……責任とって下さいヨ」
「そっ、そんな風に言うなよ…。しょうがねーだろ、そんなの」
「おっぱい星人…!!」
「……うるさい!!早く学校行け!!」
『おっぱい星人』というレッテルは千秋の自尊心をいたく傷つけるらしく、千秋は真っ赤になってうろたえた。その様は普段の彼からは想像できないほど滑稽でかわいらしく、のだめはくすくすと笑った。「じゃ、行ってきまーす」
「あ、のだめ」
ドアノブに手をかけるのだめを千秋は呼び止めた。
「学校終わったら連絡しろよ。買い物、行くぞ」「買い物?」
「…買ってやるよ、下着。……お、大きくした責任、取ってやる」
「ぎゃはあ…!やったー!しますします、電話!!」
「今日は部屋にいるから」
わかりましたー、とのだめは笑顔でドアを出て行った。…と思うと、細く開けたドアから顔だけのぞかせ、千秋を呼ぶ。
「何だよ。遅刻するぞ」
「先輩も一緒に選んでくれますよね?…たまには黒とかどうですかネ?先輩好みのセクシーなの…ギャハ」
じゃ、行ってきまーす、とのだめは元気にドアを閉めた。
「…何考えてんだあのバカ……」
セクシーな黒なんか似あわねーだろ、と毒づいてみるものの、想像の中でのだめに着せてみると意外にも似合いそうで……。
「…ま、まあたまにはいいか、そーいうのも……」
とつぶやいてしまう千秋なのだった。
━━━━━終わり
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