歌うようなささやきはのだめの身体を駆け巡って、いっそう快楽へと押し上げる。
「も…ダメ…デス…ああぁ…」
ひときわ甲高く声をあげて、のだめの身体はしなやかにのけぞった。
強い締め付けと、はねた腰の動きにこすりあげられ、千秋もすぐに精を解き放った。
━━━ 10日後
「のだめーー?いるぅーー?」
ターニャは、千秋の部屋をノックした。
「ハーイ」
「あ、やっぱりこっちにいたのね」
「どうしました?」
自分の部屋だと言わんばかりに、ここ最近のだめはこの部屋から学校に行き、この部屋へ帰ってくる。
本来の住人である千秋は、短い演奏旅行に出かけていて、今は留守だ。
「故郷から荷物が届いたの。一緒に飲まない?」
ターニャは酒瓶をかざしてみせた。
「ふぉおお、ウォッカですネ!」
「今夜はとことんガールズトークするわよーー」
「えーっ、千秋が初めての人なの?」
テイクアウトのデリとさきいかをつまみに、二人は女の子同士の話に興じた。
酒に弱いフランクもユンロンも今日ばかりは締め出し状態。
「そうなんデス……でも、すごく幸せデス……」
ウォッカはもう半分程なくなっているが、ほとんどはターニャが飲んでいた。
「……そっかぁ。いいなぁ。私にもすてきな人現れないかしらー」
「きっといますヨ。フランスの男の人って、やさしいしー」
「で、さあ」
「なんですか?」
ふふふ、と意味ありげにターニャは笑う。
「ムッシュー千秋は、あっちの方はどうなの?」
「あ、あっち?あっちってどっちデスか?」
「ばかねー、ベッドの中ではどうなの、って聞いてるのよー」
「がぼーーーー!!いっ、言えまセン、そんな事ーー」
「何よーけちね。教えなさーい。ほら、飲んで飲んで」
あおられるまま、のだめはウォッカソーダを飲み干した。
のだめの部屋に入って、千秋は愕然とした。
一週間前までは綺麗だったのに、どうしてこんな事になってるんだ━━━━。
のだめ母からの段ボールが散乱している。
プリごろ太のDVD・フランス語版、コミックス……楽譜、資料。
「あの馬鹿……」
しかも、当の本人がいない。……飯でも食いに行って、飲んでるのか?
時計を見ると、0時近い。
なんだかどっと疲れて、のだめの部屋を後にした。
千秋は静かに自室の鍵を開ける。一週間ぶりの自分の部屋。
幸いここは、汚染されていないようだ。
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