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【2025/07/18 22:09 】 |
前夜:6
「ったく、ほんとしょうがないんだから……んっ…」
 そんな清良の額に唇を落とすと、龍太郎もまた清良を抱く腕に力を込め、そっと背中をさすってやった。
「……清良、オレもっとうまくなるからな。今は見送ることしかできないけど、R☆Sで弾いて、待ってるからな。だからおまえもがんばれよ」
 そっと告げる龍太郎に、清良はその胸の中でゆっくりと頷いた。閉じた双眸を、整った鼻梁を、龍太郎の胸に押し付けるようにして。
「…うん。がんばる。龍のこと、忘れられないよ……」
 二人はどちらからともなく視線を交錯させ、頬を寄せ合った。互いに感じるあたたかな感触に、二人は幸せそうに微笑みを交わす。
 そうして先程の激しい営みとはうってかわった、静かな、触れるだけの、……キス。
 まるで想いを重ね合わせるかのように、唇を重ねた。
「好きよ、愛してる……」
 キスの合間に、囁くように奏でられる清良の声。
 龍太郎はその言葉に微笑んで、再び唇を落とした。
「愛してる、清良。おまえなら、きっとやれるよ……」

■■17
    *   *   *
 ゴォォ…………
 飛行機の轟音が小さく遠く、しかり途切れることなく響くロビー。
 清良の見送りには、龍太郎の他にも千秋が駆けつけていた。
「色々ありがとう。オケ、楽しかったわ。
今度会うのは向こうでかしらね」
 差し出された手を堅く握って、千秋も答える。
「あぁ、そうなるかな。こちらこそ楽しかったよ。また一緒にやろう」
 清良は千秋と笑顔を交わすと手を離し、龍太郎に向き直った。
「じゃあそろそろ行くわね」
 龍太郎は頷くと一歩前に出て、清良の身体を抱きしめた。千秋が傍に居るのにもかかわらず、清良もまたその背に腕をまわす。
「がんばれよ。…真っ赤なルビー……」
「もう、バカ!それ恥ずかしいってば!」 清良は眉を寄せて苦笑する。
「…帰ってきたら、また昨日のやってやるから楽しみにしてろよ」
 含み笑いする龍太郎に清良は、咎めるように頬を膨らますと恨めしそうに見上げた。
「……バカ。昨日のせいで、私腰痛いんだからね!飛行機で体調悪くなったら龍のせいよ!」
 そうしてすかさず身体を離そうとする清良の耳元で、龍太郎はささやく。

■■18
「…だっておまえが何回もねだるから……ギャ!」
 頬を染めて軽く龍太郎の頬を軽く叩くと、清良は、横顔に感じる千秋の呆然とした視線を振り払うように髪をかきあげた。
「浮気なんかしたらただじゃおかないんだからね!」
 そして背を向けてゲートに歩き出す清良を、龍太郎は呼び止めた。
 振り返る清良。
 龍太郎は清良を抱きしめて、唇を重ねる。
 一度目は、軽く。
 僅かに離して、吸い寄せられるように再び重ねると、舌を絡ませあう。
 そして三度目。優しく口付けると、龍太郎は清良を強く抱きしめた。
「がんばってこいよ。待ってるから」
 清良は頷いて、龍太郎の胸の中で目を閉じる。そして二人は名残惜しそうに身体を離し、笑顔を交わした。
「行ってくるね」
 清良を載せた飛行機が、空高く舞い上がってゆく。
 屋上に上がってそれを見届けると、龍太郎は千秋に「じゃあ帰るか~」と声を掛けた。
 ずっと黙っていた千秋が、やっとの思いで呆然と口を開く。
「お前ら一体いつの間に…そんな……」
 龍太郎は僅かに頬を染めながらも、千秋の背中をバンバンと叩いた。
「まあ、まとまる時はまとまるもんなんだよ!お前も、一緒に留学するからってあぐらかいてねーで、ちったぁオレを見習って早いとこのだめ捕まえとけよ!」
「…のだめとだぁ?!…オレはそんな……」
 固まる千秋を残して、龍太郎はご機嫌で空港を後にするのだった。
 心の中で清良の飛び立った空に語りかけながら。
「オレの真っ赤なルビー…待ってるからな!」

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【2011/06/27 23:28 】 | 峰×清 | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
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