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千秋はのだめの手を取り、楽屋へ引き入れた。
ジャケットを脱ぎ、タイをはずす。シャツの第一ボタンをはずして、ふとのだめの腕を取った。「もう一度って言ったよな」 のだめの腰を抱き寄せ、背中に手を這わせた。 「ぎゃ……ぎゃぼ……!」 千秋のいきなりのその行動に、のだめは息がうまくつけなくなってしまう。 「センパイ……あの……えっと、顔……」 「……二度と拒むなよ」 耳元でそうささやくと、千秋は有無を言わさずのだめにキスをした。 あの時と同じ、柔らかな唇。うっとりと甘やかに、吐息を濡らす。 軽く触れた後で少しだけ唇を開き、自分の唇でのだめの柔らかな唇を包み込んだ。 そして、舌をそっと差し入れる。 ……と、のだめの体は急に弛緩して、膝から崩れ落ちてしまう。 「あっ、おい!……のだめ?!」 のだめは千秋の腕の中で幸せそうに笑い、手にノートを握りしめて昇天していた。 「……おれ、まだキスしかしてないんだけど」 昇天したのだめをあきれて床に転がすと、千秋はベストを脱ぎ、カフスボタンをはずした。 キスくらいで気を失われてたら、先が思いやられるな……。 「せっかくその気なんだから、今までみたいに積極性を見せろよな……」 「━━━━━━━━━━━━!!!!(ポエム)」 「<訳>千秋君、デビューおめでとう!!」 「真兄ちゃま~~~~~」 「久しぶり」 「近所の人に色紙を頼まれちゃってー」 「よくやったな、真一!」 昇天したままののだめを片づける暇もなく、千秋は立て続けの楽屋訪問に対応せざるを得なかった。 「どうも」 「あっ、なにあれ?」 「Σ(゚Д゚;」 「 のだめちゃん!?死!?」隠そうとしていたつもりが、由衣子にのだめを見つけられてしまう。 「笑ってるよ。気持ちわりー」 「なにか変なものでも食べたのか?」 何も気づかない様子の3人をよそに、訝しげな視線を送る母に気づき、千秋は詮索されるのを恐れて佐久間を呼びに楽屋を出ていくのだった。 ━━━━━終わり PR |
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パリへ帰ってきて1週間が経つ。
8時には起きて街を軽く走り、シャワーを浴びた後で朝食をとる。 エスプレッソとラッキーストライクを傍らに、デビュー公演でやる曲の総譜をチェック。 オケと合わせた翌日は、練習での反省も踏まえ、改めて自分の音楽をどう響かせるかを考える。 イメージを構築し、感情を奮い立たせ、どう作り上げていくか。時間はあまり無い。……そんな忙しさに、今は多少の安堵を覚えていた。 あれからのだめには会っていない。 時折あのピアノの音が聞こえて、何とも言えない気持ちになったりもする。 けれど、どう切り出していいのかわかりかねて、無意識に避けようとしている自分がいる。 ……千秋はアパートの階段を上がり、フランクの部屋のドアをノックした。「あ、千秋……どうしたの?」 「デビューコンサートのチケットが来たから、渡そうと思って」 「ええっ、くれるのー?!」 「ハーイ、千秋」 「……ちょうど良かった。ターニャ、君にも」 「うわー、メルシー!…うれしーぃ。絶対行くから」 「じゃ、また」 「あ、千秋…のだめには…?チケット、渡した?……私から、渡しておこうか?」 「……自分で渡すよ。…じゃ」 1階に戻ってきても、部屋にのだめの気配はなかった。 直接、会って渡すか?……いや、やめておこう。今は、まだ……。 ドアの向こうの静寂が、やけに寒々しく心にしみる。 ドアノブに触れてみても、ぬくもりはそこにあるはずもなくて……。 千秋は封筒にチケットを入れ、のだめの部屋のドアに挟むと自分の部屋へ踵を返した。 薄暗い部屋に風が通り、奥のカーテンを揺らす。 ピアノの前に座ると総譜を開き、チェックした部分をもう一度さらっていく。 ……何もなかったように、あのドアを開けてのだめが入ってきたら。 いつもの、今までと同じように。 そうしたら、俺は……。 デビュー公演まで、あと10日。 沸き上がるスタンディング・オベーション。 こだまする「ブラヴォー!!」の感嘆の声。 顔が火照り、早くなった鼓動はさらに加速する。 「デビューおめでとう!」 「おめでとう!!」 「チアキ、おめー!」 鳴りやまない拍手を背にして舞台袖へと戻ると、心地よい汗が額を伝う。 デビューしたんだ。 指揮者としての第一歩を、今踏みしめている。……海外へ渡る事すら出来なかったこの自分が、今パリで、この場所に立っている。 夢のようだ。 |
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楽譜を前にして時にいつも感じている、高い壁。
けれども、こうして自分で乗り越えていくしかないのだ。 ひとつひとつ音を奏でながら、千秋は譜面にチェックを入れていく。 二つの主題の対比。 ……美女と野獣の……自分とのだめみたいか?と、千秋は苦笑した。 ■6 「のだめピアノが好きなのだ」とごまかしてきた。 その思いの中から、のだめ自身への思いをわかっていたつもりで……混同したままでいたのだ。 のだめのピアノが好きな自分。 のだめ自身を好きな自分。 その結果が、昨日のあののだめの態度なのだ。 その、全く別の自分の思い。同時に別の表現をしながら、バランスをとる。……それは難しいことだけれど。 千秋の指がなめらかに、けれども探るように、小節を進んでいく。 きりりと冷えたパリの朝に、心地よいピアノが響いていた。 ハートのネックレスはベッドのサイドテーブルの引き出しにしまわれ、どのタイミングで出番となるのか。 ……それはまだ誰も知らない。 ━━━━━おわり |
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■1
「のだめのことは、放っておいていいデスから!!」 そう言われ、のだめの部屋から追い出された千秋は、背後で「お疲れー」「お帰り」と声をかけるターニャとフランクにも気づかず、隣の自分の部屋へと引き返した。 いったい何が起きたというのか……。 しばらく千秋自身にもわからなかった。けれども、自分が何かとてつもなく打ちのめされたような感覚だけは、心に渦巻いた。 ジャケットを脱ぎ、無造作にベッドへと投げる。 散らかっているとばかり思っていた部屋は、4ヶ月前に千秋が掃除したばかりと見まごうばかりに隅々まで清掃が行き届いている。 『的外れなことばっかり!!』 的外れ……?……俺が? 『だからー、そのへんちゃんと分けろといってるの』 ━━━━分ける?何を? ━━━━そのへん?……いったいどのへん? 何かにとてもショックを受けている自分がいた。 いったい何に? ━━━━あののだめにキスしてしまった自分? ━━━━それとも、のだめに拒否された自分? 一気にどっと疲れが押し寄せて、千秋は倒れこむように体をベッドに預けた。 ■2 肌寒さに目を覚ますと、部屋は暗闇に包まれていた。 どうやら、そのまま寝入ってしまったようだ。 気だるく寝返りを打つと、薄明かりの中に衣擦れの音が響く。 窓辺からかすかに町並みの明かりが見て取れた。 一つ大きくあくびをしてベッドサイドに目をやると、時計が日付の変わった事を示していた。 泥のように重い体を起こして、クローゼットからスウェットを出して着替える。 時差のせいか。 あるいは別の理由か。 すっきりしない意識で、千秋は部屋を出た。 隣ののだめの部屋をあえて見ず、階段を静かに駆け下りた。 ロビーを抜け中庭に出ると、晩秋の風が首筋を通り抜けていく。 その冷たさに千秋は首をすくませ、スウェットの襟を立てた。 通りの角を曲がった先に、テイクアウトのできるカフェがある。 何度かのだめを連れて行った事もある。まだ、この時間なら営業しているはずだ。 千秋は少し歩幅を強めた。■ヘタレ千秋3 適当にサンドイッチを見繕って、千秋は店を後にした。 このあたりは、午前を回っても比較的賑やかで、かといって治安が悪いわけではなく、 家庭的なレストランやカフェなとが軒を連ねている。 本当だったら━━━━ 本当だったらのだめを連れ出して食事にでも行くつもりだった。 演奏旅行で経験したこと。 シュトレーゼマンが相変わらずだった事。 |
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「す・・・すげ~。一発でイッちゃたよ。ブラボーのだめ!!最高のフィーリングだ!!オレたちは最高のパートナーだ!」
峰に見初められ、のだめは試験のパートナーになった。 「のだめ、ますますわかりませーん!!」 行き詰まり、茶碗片手に千秋の部屋を訪れるのだめ。 「おまえな・・・わからないならビデオぐらい観ろよ!」 「わたしと峰くんのと全然ちがいマス・・・・・・先輩、ちょっと相手してくれませんか?」 「1回だけだぞ。じゃあ風呂入れ。」 (1回ビデオ観ただけでこれだ・・・恐ろしい奴・・・。) 「くっ・・・!」 「あへ~・・・。気持ちよかったデス、はうん~」 のだめ昇天。 「オレはあわせるのでいっぱいいっぱい。最近やってなかったし、やっぱだめだな。」 「え~~!?すごくうまいですヨー千秋先輩!」 「なんでだろー?峰くんとはうまくあわせられなかったのに・・・でも峰くんは“気持ちよかった”って―」 「そーゆーのはいわゆる・・・」 「オナニープレイってゆーんだよ!デスよ。意味はひとりよがり。」 「は・・・はい?」 「それから―峰くんは前戯がわかってねぇ!デス!水音ちっともきいてないだろ!?ひとりで気持ちよく先走ってどうする!?それから~、テクニックばっか気をとられるな!ふい~・・・以上4つ!のだめからのアドバイスでした―。」 落ち込む峰。 (なにもかも見透かしたように・・・) 「どうせオレはヘタクソだよ!才能なんかねーよ!」 「でも・・・千秋先輩峰くんのことヘタなんて言ってませんでしたよ~?‘体位がおもしろい‘とか‘前戯はダメだけど体力はある‘とか、ホメてたしー」 (千秋・・・) 「ね、だから練習しよー峰くん。」 試験当日― 風邪をひいて使い物にならないのだめ。 「もういい・・・わかった。峰の相手はオレがする!ただし、おまえが受だ!」 一発勝負だ! 「そんなーー!」 そして、峰の番―。 「今日はテクニックとかそんなに気にするな。でも、オレ様の技はちゃんと感じろよ…あとはてきとーに、好きに動いていいから。」 本番開始―。 |
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