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「ったく、ほんとしょうがないんだから……んっ…」
そんな清良の額に唇を落とすと、龍太郎もまた清良を抱く腕に力を込め、そっと背中をさすってやった。 「……清良、オレもっとうまくなるからな。今は見送ることしかできないけど、R☆Sで弾いて、待ってるからな。だからおまえもがんばれよ」 そっと告げる龍太郎に、清良はその胸の中でゆっくりと頷いた。閉じた双眸を、整った鼻梁を、龍太郎の胸に押し付けるようにして。 「…うん。がんばる。龍のこと、忘れられないよ……」 二人はどちらからともなく視線を交錯させ、頬を寄せ合った。互いに感じるあたたかな感触に、二人は幸せそうに微笑みを交わす。 そうして先程の激しい営みとはうってかわった、静かな、触れるだけの、……キス。 まるで想いを重ね合わせるかのように、唇を重ねた。 「好きよ、愛してる……」 キスの合間に、囁くように奏でられる清良の声。 龍太郎はその言葉に微笑んで、再び唇を落とした。 「愛してる、清良。おまえなら、きっとやれるよ……」 ■■17 * * * ゴォォ………… 飛行機の轟音が小さく遠く、しかり途切れることなく響くロビー。 清良の見送りには、龍太郎の他にも千秋が駆けつけていた。 「色々ありがとう。オケ、楽しかったわ。 今度会うのは向こうでかしらね」 差し出された手を堅く握って、千秋も答える。 「あぁ、そうなるかな。こちらこそ楽しかったよ。また一緒にやろう」 清良は千秋と笑顔を交わすと手を離し、龍太郎に向き直った。 「じゃあそろそろ行くわね」 龍太郎は頷くと一歩前に出て、清良の身体を抱きしめた。千秋が傍に居るのにもかかわらず、清良もまたその背に腕をまわす。 「がんばれよ。…真っ赤なルビー……」 「もう、バカ!それ恥ずかしいってば!」 清良は眉を寄せて苦笑する。 「…帰ってきたら、また昨日のやってやるから楽しみにしてろよ」 含み笑いする龍太郎に清良は、咎めるように頬を膨らますと恨めしそうに見上げた。 「……バカ。昨日のせいで、私腰痛いんだからね!飛行機で体調悪くなったら龍のせいよ!」 そうしてすかさず身体を離そうとする清良の耳元で、龍太郎はささやく。 PR |
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■■14
両手も縛られて、龍太郎のなすがまま、清良は文字通り犯されていた。 龍太郎は、今度は空いた左手で自分たちがつながる部分に指を這わせる。 「……ッ!!」 「おまえ、ここいじられるの好きだよな…。こんな、なんにも抵抗できなくて、今触ったらどうなる……?」 龍太郎の指先は、ことさらゆっくりと結合部を辿る。 その指先が求める場所を察知して、清良は無我夢中で腰を引こうとする。まるで、追い詰められたウサギが生命を守ろうと必死で逃げ道を探すように。 しかし龍太郎は決して逃がさず、一層清良を突き立てた。 「いいから、黙って犯されてればいいんだよ…」 「…んぁぁっ……!!」 龍太郎の指は清良の突起を捕らえ、揉みしだくようにこねくりまわした。 ズン、ズン、と重く突かれる快感と共に、その敏感な芽をいたぶられて、電流のように激しい快感が清良を襲う。 「…やあぁ…許して、龍、あ、もうダメ……!!」 「何がダメなんだよ。じゃあやめるか?」 龍太郎は自身も荒く息をつきながら清良の腰をがっちりと掴んで、より深く、強く腰を打ち付ける。 その芽を激しく弄びながら。 「…やぁっ、だ、い、イっちゃうの……!!」 清良はベッドに強く顔を押し付け、拘束された手首をもどかしげに震わせながら、指先が白くなるほどにシーツを強く握りしめた。 快感に耐えるようにシーツにしがみついていた清良の指先は、今や快感を逃すまいと、浮き上がる自身の身体をベッドにつなぎ止めていた。 抵抗の末に龍太郎の掌を振りほどき、清良は快感を搾り出すように声を上げる。「ゃあぁぁぁっん…! 「イくのか?オレに犯されてイくのか?やらしいな、清良…!」 龍太郎の芽を擦る指先がこの上なく速くなると、清良の背はひときわ大きくしなった。 ■■15 「ん、やあぁ……!!」 びくり、びくり、と清良の華奢な身体が跳ね、ベッドに深く沈み込む。同時に膣内は激しく収縮し、龍太郎を締め付けてこの上ない快感を与えた。 「…っく……!」 龍太郎はその急激な締め付けに全身全霊をかけて耐えると、手を伸ばし、くったりと力を失った清良の手首の戒めを解いた。 「…りゅ、龍、やだ、顔が見たい……」 肩を上下させて荒い息をつく清良が絞り出すように言うと、龍太郎は自身を差し入れた状態のまま、清良を仰向けにさせた。 当然、結合部は卑猥な水音をさせながら、激しく摩擦する。 |
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■■11
龍太郎は清良から身体を起こし、返事も待たずにベルトに手をかける。 清良は弛緩しきった身体をベッドに預け、その光景をぼんやりと見ていた。 龍太郎が全ての衣服を脱ぎ去ると、鞄からゴムを取り出そうとしたが。 「いいの……つけないで、生で、して」 快感の波に堕とされながらも、清良は口を開く。 龍太郎はさすがに驚いて清良を見遣った。「そんなわけいかねーだろ。おまえ、自分の人生もっと」 「いいの。ピル飲んでるから平気」 そう言って清良は、悪戯っぽく微笑んだ。 龍太郎はあっけに取られて手を止める。 「大丈夫、私だって色々考えてるよ。だけど、向こうに行く前に、龍を生で感じたかったから、処方してもらっておいたの」 そっと微笑む清良。 龍太郎はベッドに腰掛けると、そっと清良の肌に手を伸ばしながら言った。 「オレと…したくて?」 「うん」 腿を撫でる、さわさわと優しい感触にこそばゆい感覚を覚えてそっと微笑みながら、清良は、まっすぐ龍太郎を見つめて頷いた。 「そっか……」 龍太郎は、思わず潤みかけた目を慌てて拭うと、清良に覆いかぶさった。 「…何泣いてるのよ、バカね……」 「泣いてなんか、ないって…」 ■■12 そこまで言って、龍太郎は突如笑みを零した。 「啼くのはおまえだから」 そうして龍太郎は、清良の身体を一度抱きしめてから、うつ伏せに寝かせた。 清良は龍太郎の思惑に気付いて、自由にならない身体をもてあましながらも慌てて龍太郎を振り返った。 「な、なにすん…」 「入れるぞ」 抗議の余地もなく、龍太郎は後ろから清良のその部分に自身を宛がうと、ズブズブと押し入れていく。 「…う……」 「あぁ…!りゅ、龍……!!」 清良は自分の身体に押し入ってくる快感の渦に引き込まれ、思わずベッドに顔を埋めて、眉を強く寄せた。 柔らかな自身の内側を、龍太郎の硬く太い幹がどんどん割って入ってくる。 押し流されるような引き込まれるような、わけのわからない快感。拘束され有無を言わさず後ろからされる、まるで動物のような荒々しさに、快感を逃がせない清良はただベッドに身体を押し付けて耐えるしかなかった。 「…は、ぁ、すご…清良……」 根本まで入れると、龍太郎はその背中に唇を落とし、すぐさま腰を前後に動かし始めた。 「あぅっ…あ…!龍太郎…!!」 清良の指は、真っ白なシーツを無意識の内に懸命にたぐりよせた。 |
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「バカ……」
頭を優しく撫でる龍太郎の肩に顔を埋めて、拗ねたように、にじんだ涙をこすりつける清良。 龍太郎は少しの罪悪感を感じながらも、至福に満たされていた。 ステージでは鮮烈にして大胆、慈悲深いビブラートをもって迫力の音を奏でる、まごうことなき輝石。ルビーの如く光り輝き、薔薇の如く妖艶に咲く彼女が、自分だけには、意外なほど可憐で慎ましやか…そして淫らな面も見せてくれる。 龍太郎は、彼女――三木清良を、心から愛しく思っていた。そして、籠の中に閉じ込めておきたい気持ちと、果てしなく広い大空へ無限の可能性をもって飛んで欲しい気持ちの両方に苛まれるのだった。 ■■8 龍太郎は清良の頬に口付けてから、そっとその滑らかな肌を撫でた。撫でる、いうよりは、撫で回している。まるでその感触を自身の掌に刻み付けるかのように、丹念に指を滑らせていった。 「ねぇ……外してくれないの?これ……」 清良は、慈しむかのようなその愛撫にとろけるように身を委ねながらも、手首の戒めを示した。 「似合ってるから、ダメ」 龍太郎は、撫でるだけでは飽き足らず、清良の肌のそこここに唇をおとしてゆく。 「!なによ、それ……」 「おまえのさ」 龍太郎は、清良の目を見つめて言った。 「強気な顔が屈辱に歪むのって、物凄く綺麗だ…」 今や圧倒的な優越に彩られた龍太郎は、淫靡に笑みを零す。 「…あ、ヴァイオリンのことじゃないからな。縛られて抵抗できない清良、すげーそそられる……」 「何バカなこと言ってるのよ!…っあ、……」 龍太郎は清良の脚元まで移動すると、その両脚を抱え上げ、しっとりと汗ばんだ内腿に舌を這わせた。 つつ――、とその中心に向かってゆっくり舌を進め、かと思えば、その付け根に触れる一歩手前で避けてしまう。 そんなことを何度も繰り返した。 中心に近づくたびに清良の息が上がり、離れるたびに、押し殺した吐息が漏れる。 清良の美しく整った顔は快感ともどかしさに翻弄され、苦しそうに歪められた。 「…して。龍……私もう我慢できない……」 熱い吐息の合間に途切れ途切れにそう漏らすと、龍太郎は、清良のショーツの端に指をかけ、ゆっくりと引き下ろして取り去った。 そこは濡れそぼり、溢れ出た愛液が茂みをしっとりと濡らしている。 龍太郎は誘われるままに、その中心に顔を近づけた。 |
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浮き出た鎖骨、細い肩。決して大きくはない小振りな胸は清良の華奢な身体には丁度いいサイズで、美しいフォルムを形作っていた。
背を支えてベッドに横たえながら、龍太郎は清良のベージュのカプリパンツのジッパーを下ろした。そのまま脱がせてしまおうと思っていたが、清良のそっと開けられた切れ長の目に捕らわれ、思わず龍太郎は清良にのしかかった。 「清良……」 再び重ねられる唇。 唇は、顎を伝って首筋へ。そのまま音を立てながら鎖骨をなぞる。 「…ん……ん、……」 龍太郎はホックを外し、幾分急いてブラジャーを取り去るとそのふくらみに唇を落とし、大きな掌で味わうように揉みしだく。 清良の乳房は夢のように柔らかく、まろやかで。龍太郎の硬い掌は、優しい愛撫で彼女のふくらみを自在に揺り動かす。 その頂は紅く、開花を待つ桜の蕾のように、淡く、はちきれそうに尖っていた。 龍太郎は、つと、その蕾を長い指でなぞる。 「…ゃ、ひゃぁ……」 頭から抜けるような清良の嬌声に笑みを零すと、唇で挟み、舌で舐め取り、快感に震える清良のその蕾を思うがままに蹂躙した。 この夜を境に暫く彼女を抱くことができないと思うと、龍太郎は一層燃えたぎる欲望と共に、羽交い絞めにして閉じ込めておきたい衝動にかられた。 …羽交い絞め?……そうだ。 ■■5 「ちょっと待ってろ」 龍太郎はそう声を掛けるとベッドを離れ、自身もTシャツを脱ぎ捨てて上半身裸になると、テーブルの脇に落ちているリボンを手に戻ってきた。 先ほど二人で食べたケーキの箱に結ばれていたものだ。 ぼんやりと目を開けた清良は、龍太郎の手にしているそのリボンを見て、不審気に眉をひそめた。 「な…なによそれ……」 龍太郎は無言のまま薄く微笑むと、清良の両手をその頭上に押さえつけ、いそいそとそのリボンで戒める。 「ちょ…ちょっと!何するのよ!」 龍太郎の思惑に気付いた清良が焦って声を上げるが、龍太郎は意に介さない。 白く細い両の手首に巻きつけられた、ブラジャーと同じ、深紅のリボン。清良の手はその可憐な拘束具に瞬く間に捕らえられてしまった。 「ちょっと、龍ってば!」 「逃がさない」 清良の抗議の声に、龍太郎は落ち着いた声で答えた。 「…て……、手首ひねっちゃったらどうするのよ…!」 |
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■■1
「…楽しかったな、千秋くんのオケ。また一緒にできるかしら……」 清良はワイングラスを傾けると、テーブルについた腕を突っかえ棒にしてうっとりと目を瞑った。 栗色の髪がさらさらと流れ、彼女の頬に美しい陰影を生む。 「そりゃできるだろ。戻るたびにコンサート組むからさ、客演でもいいから乗れよ」 龍太郎は微笑むと、そっとその髪の一房をかきあげてやり、指の隙間からこぼれさせた。 「向こう行ってもがんばれよな」 「言われなくたって」 龍太郎の言葉に、清良は得意気に微笑んだ。 「がんばるつもりよ。もっと練習して、勉強してくる。じゃないとみんなにダメ出しくらっちゃうもんね。特に高橋くんには……」 だんだんと険しい顔つきになる清良は、そこまで言うと視線をテーブルに落とす。 「…ヴッフォン国際で3位ですってぇ…?!押コン2位なんてなんの武器にもなりゃしない…!!見てなさい高橋、私…」 「…もっと上手くなってあんたの鼻っ柱を折ってやる、だろ?」 龍太郎は、グラスを手にしたままワナワナと震える清良の手をそっと握った。 「わかってるって。おまえ、飲みすぎ」 そんな龍太郎をきっと睨みつけると、まるで吐き出すかのように語気を荒げた。 「だって、だって悔しいんだもん!」 ■■2 ぷいと顔を背けて頬を膨らませるその横顔は、アルコールで上気して桜色に染まっている。清良の整った顔立ちが子供っぽい表情を見せるその様は、普段の凛とした印象とはかけ離れ、可愛らしいものだった。 清良のその言葉が龍太郎に向けた雑言ではなく、自身を鼓舞するかのような自戒を込めたものだということは、龍太郎にはわかっていた。 清良は、普段「悔しい」なんて軽々しく口にしない。しかしひとたびアルコールがまわると、必ずこの話題を口にするのだ。聴きなれた言葉ながら、龍太郎は横槍を挟まずに聞いてやる。 「押コンのことは、後悔はしてるけど、もう立ち直ってる。コンクールの結果とか高橋とか、そんなことじゃない。私…私は……」 龍太郎はその頬にそっと掌を宛てると、自分の方に向かせた。 「そうよ…悔しいのよ……私これでも、いつも精一杯やってきたわ。毎日、朝から晩まで練習して、色んなこと勉強して。なのに、まだできないこといっぱいある」 顔を上げ、にやり、と微笑む清良。 |
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